「感染症・予防接種ナビ」は、広島テレビ放送が運営しており、厚生労働科学研究「ワクチンで予防可能な疾病のサーベイランスとワクチン効果の評価に関する研究」(研究代表者・鈴木基)の 「ワクチンの有効性、安全性、啓発に関する研究」(研究分担者・岡部信彦)の研究活動の一部に協力しています。
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新型コロナウイルス感染症

2019年末頃より「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」が中国の武漢市を中心に出現し、世界中で患者数が増加しています。

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感染症ニュース

【感染症ニュース】RSウイルス感染症全国定点1.42 報告数が1.4倍に急増 近畿地方を中心に全国に拡大か…

国立感染症研究所の感染症発生動向調査週報2024年第15週(4/8〜14)によると、全国のRSウイルス感染症の定点あたり報告数は1.42。前週(第14週)から約1.4倍増加しました。都道府県別の定点あたり報告数は、奈良4.18、大阪3.95、福井3.64、山口2.49、三重2.20、北海道1.95、京都1.87、埼玉1.82、宮崎1.78で多くなっています。

【2024年】4月に注意してほしい感染症!RSウイルス感染症徐々に増加 麻しん(はしか)流行に注意 医師「春休み明けもインフルエンザ下がり切らない懸念」

RSウイルス感染症とは?

RSウイルス感染症は、RS(respiratory syncytial)ウイルスを病原体とする呼吸器の感染症です。RSウイルスは日本を含め世界中に分布しています。何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の人が1度は感染するとされています。症状としては、発熱や鼻汁などの軽い風邪のような症状から重い肺炎まで様々です。初回の感染時にはより重症化しやすいといわれており、特に生後6か月以内にRSウイルスに感染した場合は、細気管支炎、肺炎など重症化する場合があります。RSウイルス感染症には特効薬はありません。治療は基本的には対症療法(酸素投与、点滴、呼吸管理など症状を和らげる治療など)を行います。

乳幼児の感染には要注意!

また、初感染の乳幼児においては、約7割は鼻汁などの上気道炎症状のみで数日のうちに警戒しますが、約3割では咳が悪化し、喘鳴、呼吸困難などが出現します。重篤な合併症として無呼吸発作、急性脳症等を起こすことがあります。さらに、生後1か月未満の児がRSウイルスに感染した場合は、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、また突然死につながる無呼吸発作を起こすことがあります。

感染症に詳しい医師は・・・

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「RSウイルス感染症は、新型コロナが蔓延した3年の間にも流行をみせていました。今年の患者数の増加の傾向は、2021年や2023年とよく似ていて、ゴールデンウイークで一旦減るものの、その後は7月頃をピークに全国的に広がっていくものと予測しています。RSウイルス感染症は、大人や何度か感染したことがある子どもにとっては軽い風邪程度の症状、あるいは症状が出ないこともありますが、初感染の乳児には非常にインパクトのある感染症で、命に関わることもあります。RSウイルス感染症には、子どもに接種することができるワクチンがまだなく、予防が難しい感染症です。私が先週、定期接種を行った子どもたちの中には、すでにRSウイルスに感染して入院したことがある乳幼児がいました。現場の肌感覚として、RSウイルス感染症の流行が拡大していると感じています」としています。

RSウイルスの感染経路は?

RSウイルス感染症の特徴として、予防しにくいということがあります。RSウイルスは主に接触感染と飛沫感染で感染が広がります。RSウイルスに感染している人との直接の接触や、感染者が触れたことによりウイルスがついた手指や物品(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップなど)を触ったり、舐めたりすることで感染する接触感染。あるいはRSウイルスに感染している人が咳やくしゃみ、あるいは会話などをした際に口から飛び散る飛沫を浴びて吸い込むことによる飛沫感染で広がります。手洗いや身の回りのものの消毒など、一般的な感染対策が予防につながります。また、乳幼児に関しては、周りの大人やきょうだいから感染することが多く、風邪のような症状があるときには部屋を分けるなど、乳幼児になるべく近づかないなどの配慮が必要です。

乳幼児の受診の目安は?

特に乳幼児がRSウイルスの感染した場合、急激に症状が悪化することがあります。保護者には、負担になるかも知れませんが、目を離さないようにすることが重要です。医療機関の受診の目安ですが、機嫌がよく、辛そうでなければ、慌てずに様子をみて、かかりつけ医にご相談ください。ただし、呼吸が苦しそうだったり、食事や水分摂取ができなかったりする時は、直ちに医療機関への受診を検討してください。

引用
国立感染症研究所:感染症発生動向調査週報2024年第15週(4/8〜14)、
厚生労働省HP:RSウイルス感染症Q&A(令和6年1月15日改訂)

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏
感染症ニュース一覧
予防接種における間違いを防ぐために

注意してほしい感染症

2024年4月期

RSウイルス感染症
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
新型コロナウイルス感染症
麻しん(はしか)

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ
咽頭結膜熱
溶連菌感染症
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
百日咳
ヘルパンギーナ
流行性耳下腺炎
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
マイコプラズマ肺炎
情報元:IDWR2024年第15週(2024年4月8日~2024年4月14日)

流行の様子

RSウイルス感染症 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 麻しん
 

RSウイルス感染症

報告数
北海道
267
青森
3
岩手
8
宮城
39
秋田
4
山形
15
福島
54
茨城
48
栃木
54
群馬
92
埼玉
295
千葉
116
東京
425
神奈川
280
新潟
49
富山
24
石川
48
福井
91
山梨
9
長野
33
岐阜
55
静岡
80
愛知
182
三重
99
滋賀
36
京都
144
大阪
774
兵庫
222
奈良
142
和歌山
26
鳥取
2
島根
17
岡山
14
広島
97
山口
107
徳島
37
香川
18
愛媛
51
高知
16
福岡
120
佐賀
22
長崎
27
熊本
31
大分
11
宮崎
64
鹿児島
75
沖縄
25
RSウイルス感染症は、乳幼児に注意してほしい感染症で、特に1歳未満の乳児が感染すると重症化しやすいです。お子さんに発熱や呼吸器症状がみられる場合は、かかりつけ医に相談してください。感染経路は、飛沫感染や接触感染です。お子さん向けのワクチンはまだ実用化されていないため、手洗い、うがい、マスクの着用を徹底しましょう。家族以外にも保育士など、乳幼児と接する機会がある人は特に注意が必要です。
情報元:IDWR2024年第15週(2024年4月8日~2024年4月14日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

感染すると、2~5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。発熱や咽頭痛など、新型コロナの症状と似ており区別がつきにくいため、症状が疑われる場合は速やかにかかりつけ医を受診しましょう。主な感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。感染の予防には手洗い、咳エチケットなどが有効です。
情報元:IDWR2024年第15週(2024年4月8日~2024年4月14日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

流行は、今後、落ち着きをみせると思われますが、水準的には、減り切っていないため、2024年4月以降も、しばらく、患者発生動向には注意していく必要があると考えています。また、4月から、新型コロナウイルス感染症に関する特例措置が終わり、通常の医療提供体制へ完全に移行します。これにより、新型コロナワクチンの特例臨時接種(無料)も3月末で終了し、4月からは自費での接種となります。また、治療薬の薬剤費や入院医療費についても公費の負担が3月末で終了し、他の疾病と同様に医療費の自己負担割合に応じた通常の窓口負担になります。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

麻しん

麻しんは「はしか」とも呼ばれ、パラミクソウイルス科に属する麻しんウイルスの感染によって起こる急性熱性発疹性の感染症です。麻しんウイルスは人のみに感染するウイルスであり、感染発症した人から人へと感染していきます。感染力は極めて強く、麻しんに対して免疫がない人が麻しんウイルスに感染すると、90%以上が発病し、不顕性感染は殆どないことも特徴の1つです。現在ではビタミンAが不足すると麻しんの重症化を招きやすいことが知られており、発展途上国ではその死亡率が10~30%に達する場合があると言われています。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
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「水ぼうそう・帯状疱疹」ホントのところ

予防接種トピックス

感染症発生動向調査による小児科定点(約3,000か所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000か所)からの報告数に基づいたデータ解析によります。
感染症発生動向調査とは(厚生労働省ホームページより)
すこやか201 知ってアクション!感染症の予防

予防接種スケジュール

※国立感染症研究所サイト

インフルエンザ情報

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
厚生労働省が4月12日に発表した「インフルエンザの発 生状況について」令和6年第14週(4/1-7)による と、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は5.10。 去年の10月以来、久しぶりに10を下回りました。すべ ての都道・・・
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厚生労働省が4月12日に発表した「インフルエンザの発 生状況について」令和6年第14週(4/1-7)による と、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は5.10。 去年の10月以来、久しぶりに10を下回りました。すべ ての都道府県で前週(第13週)より少なく、10を超え る県は山形11.47と新潟10.25だけです。感染症 に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の 安井良則医師は「インフルエンザの全国の定点当たり報告 数は、前週と比較しても半分以下となりました。しかし、 この第14週は学校や幼稚園・保育園などが春休みの時期 と重なっています。インフルエンザ定点は小児科が多いた め、長い休みの影響を受けます。流行の傾向は次の15週 16週の数字を見ないとわからないでしょう。通常、イン フルエンザは短期間に大きな流行の山を作ります。今シー ズンは爆発的な流行はなかったものの、患者は長期に渡り 出続けていたため、患者数はこの10年で最多となってい ます。本来であれば夏頃はインフルエンザの患者はほとん ど出ないのですが、今後も要警戒だと思っています」
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