【感染症ニュース】新型コロナワクチン子どもの接種はどうすれば… 子どもの発症傾向以前と変化 急性脳症・急性心筋炎・不整脈など発症事例も
2023年9月27日更新
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生後6か月から接種可能
生後6か月から接種可能
 2023年9月20日から、新型コロナワクチンの「令和5年秋開始接種」が始まりました。対象者は初回接種を終了している生後6か月以上のすべての方で、1回接種します。使用されるのはオミクロン株(XBB.1.5株)に対応した1価ワクチンで、特例臨時接種として、2024年3月31日まで自己負担なしで接種を受けられます。接種を行なっている医療機関で受けられるほか、自治体によっては接種会場が設けられている場合もあります。接種券なども自治体によって異なるので、詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。

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子どもの新型コロナウイルス感染症が変化している

 以前から子どもは新型コロナに感染しても症状がでない、あるいは発症しても軽症で終わることが多いと言われてきました。しかし、最近その傾向が変化しています。厚生労働省が2023年8月に発表した「新型コロナウイルス感染症診療の手引き第10.0版」によると、小児における無症候性感染者(感染しても無症状)の割合は、デルタ流行前は各年齢で約40%、デルタ流行期には20〜30%、オミクロン流行期に至っては約10%にまで減少しているとのことです。また、オミクロン流行期には約80%に発熱がみられるということです。発熱、けいれん、悪心・嘔吐など、症状を示す方の割合は増加しています。

子どもにおける死亡例

 また、子どもの新型コロナウイルス感染症による死亡例も報告されています。国立感染症研究所の報告によると2022年1〜9月の間に新型コロナ発症後の20歳未満の死亡例は62例。その年齢は0歳が9例、1〜4歳が19例、5〜11歳が25例、12〜19歳が9例となっており、5歳未満が約半数を占めています。死亡に至る主な経緯は、急性脳症など中枢神経系の異常が19例、急性心筋炎・不整脈など循環器系の異常9例、肺炎・細菌性肺炎など呼吸器系の異常4例などとなっており、さまざまな原因で亡くなっています。また、明らかな内因性死亡とされた50例のうち、58%が基礎疾患のない子どもでした。発症してから亡くなるまでが1週間未満の症例が約8割となっており、発症後1週間の症状の経過観察が重要であると報告されています。

感染症に詳しい医師は・・・

 感染症に詳しい大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「新型コロナウイルス感染症は、流行当初から子どもは感染しても発症しないか、発症しても症状が軽いと言われてきました。しかし、調査により最近では発症するケースが増えていることがわかりました。また、2歳未満と基礎疾患のあるお子さんは、重症化リスクが高いとされています。健康なお子さんでも重症化する可能性があるので、しっかりと予防をすることと、発症した場合は医療機関にかかり治療を受けることが重要です。新型コロナの変異も進んでいます。感染に備え、ワクチンを接種することも選択肢のうちの一つとして検討する価値はあると思います。」と語っています。

子どもの新型コロナワクチン

 日本小児科学会では、生後6か月以上の全ての小児に新型コロナワクチンの接種を推奨しています。子どもの新型コロナワクチンの初回接種は、6か月から4歳までは3回、5歳から11歳までの方は2回、12歳以上は大人と同じ扱いで2回接種です。9月20日からはオミクロン株(XBB.1.5株)に対応した1価ワクチンが使用されます。また、9月20日から始まった「令和5年秋開始接種」では、追加接種として1回接種します。接種対象は6か月以上の全ての子どもですが、5歳以上で基礎疾患がある子どもは公的関与(努力義務及び接種勧奨)が必要とされています。副反応に関しては、5〜11歳の場合、50%以上に接種部位の痛みや疲労、10〜50%に頭痛・注射した部分の発赤や腫れ・筋肉痛・悪寒、1〜10%に下痢、発熱、関節痛、嘔吐があるとされています。また、生後6か月〜4歳についても、接種日の痛み、疲労、発熱、頭痛などさまざまな症状が確認されていますが、ほとんどが軽度または中等度とされています。

引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症診療の手引き第10.0版(2023年8月)、(追加接種)令和5年秋開始接種についてのお知らせ、新型コロナワクチン接種「令和5年秋開始接種第2報」(令和5年9月12日)、新型コロナワクチンQ&A

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 安井良則氏

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