【感染症ニュース】24歳・夜も眠れず激痛でペインクリニックへ 診療遅れで症状悪化か… 若い世代も注意必要な帯状疱疹
2023年10月14日更新
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ワクチン接種の検討を
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帯状疱疹は、水痘-帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症します。水痘とは、「水ぼうそう」のことで、感染したことがある人は、治癒した後も、体内の神経節にウイルスが潜伏した状態が続きます。潜伏したウイルスは、加齢やストレス、疲労等による免疫力の低下で再活発化し、帯状疱疹を引き起こします。また、帯状疱疹の合併症の一つとして帯状疱疹後神経痛があり、発症頻度は年齢や症例定義、報告によって異なりますが、帯状疱疹患者の10-50%で生じるとされています。国内外の疫学調査において、壮年層における帯状疱疹では発症から3ヶ月以上持続する疼痛が10-20%に認められます。帯状疱疹は、特に50歳を境に発症率が急上昇します。一方で、10代の後半での発症も多く報告されています。若い方でも注意が必要な感染症と言えるでしょう。今回、ご紹介するのは、愛知県から「感染症・予防接種ナビ」に寄せられた、24歳の方の経験談です。

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■帯状疱疹 24歳 愛知県

9/26 仕事中。左太腿に激痛がはしる。始めは何かに刺されたと思った。しばらくすると良くなったが、夜にまた激痛がはしる。
9/27 痛みはなし。近所の整形外科に行く。骨盤の骨が原因だと言われるが納得いかず。
9/28 痛みはなし。左太腿にポツポツができる。やっぱり何かに刺されたと思った。調べると帯状疱疹があることを知る。
9/29 夜寝る時に激痛が3度来て、起きる。
9/30 他の整形外科受診。帯状疱疹の疑いがあると言われる。そのまま皮膚科を受診。ここで発覚する。5分おきぐらいに激痛がはしり、全く眠れない。本当に辛い。痛みとしてはズキン!とえぐられるような電気が走っているような痛み。
10/1 激痛は治らない。ロキソニンも全く効かない。温めるとよいと聞いて、湯たんぽを使う。気休め程度だがよかった。
10/2 ペインクリニック受診。背中に麻酔を打ってもらう。8時間くらい効いたが、激痛が5分おきぐらいに走るようになった。
今の時点です。本当に辛い、寝たくても激痛で起こされる。あとどれぐらい我慢すればいいんだろうと毎日思っている。仕事はいけない。食欲もない。あと何日で治るのでしょうか…。

■感染症の専門医は…

感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「痛みがひどく、辛いのだろうと思います。帯状疱疹は、整形外科のお医者さんでは、なかなか気づけないケースもあります。ピリピリ・ズキズキする痛みを感じたら、帯状疱疹を疑うことも大切で、医師に症状を伝えてください。その際、早期に皮膚科を受診することが肝要です。1日でも早く、抗ウイルス薬を処方してもらってください。今回の経験談は、直接診断した訳ではないので、痛みの具合や発疹の範囲など、分からない部分も多いですが、場合によっては、痛みが続く可能性もあります。帯状疱疹は、50歳を超えると発症率が、一気に上がることが知られていますが、10代の後半など、若い世代での発症も珍しくありません。好発年齢の方は、ワクチンがあることも知っておいていただければと思います。帯状疱疹で、気がかりなのは、帯状疱疹後神経痛と呼ばれる、長期に渡る痛みなどが続くことです。以前、旅行前に発症し、そのまま旅行に出かけてしまったため、後に帯状疱疹後神経痛に悩まされた方を診たことがあります。今回の方も、ペインクリニックを受診するなど、相当、辛かったと思います。帯状疱疹後神経痛が出ないことを祈るばかりです」としています。

■どの世代も注意

どの世代であっても、発症の可能性はあるので、年齢に関係なく注意が必要です。日本では、帯状疱疹を予防するワクチンが2種類あります。ワクチンには、発症したとしても重症になることを予防できる効果と、発症そのものを予防できる効果もあると考えられています。どちらも50歳以上の方が対象となります。2016年3月に阪大微研が製造する『乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」』について、「50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防」に対する「効果・効能」が追加承認されました。接種回数は1回です。また、2018年3月には、帯状疱疹の予防のみを目的としたワクチン(シングリックスⓇ筋注用)が薬事承認されました。接種回数は2回で、接種間隔は1回目から2か月以上あけて、6か月以内に2回目を接種します。帯状疱疹予防としてのワクチンは、任意接種のワクチンとなりますので、接種費用は基本的に自費となります。しかし、自治体によっては一部助成しているところもありますので、お住まいの自治体へお問い合わせください。

参照:帯状疱疹症例調査「宮崎スタディ」
引用:厚生労働省「帯状疱疹ワクチン ファクトシート 平成29(2017)年2月10日 国立感染症研究所」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 安井良則氏

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