半年以上前に更新された記事です。

 2月に注意してほしい感染症

【No1】インフルエンザ…例年は、1月下旬から2月初旬にかけて流行のピークを迎えます。今シーズンはそれほど患者数は多くはならないと予想されますが、今後も十分な注意が必要です。

【No2】溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)…12月は夏の流行のピークを超えて大きな流行となりました。2月以降も例年よりも患者発生数が多い状態となる可能性があります。特に、幼稚園・保育園・小学校など、乳幼児・小児の集団生活施設においては、溶連菌感染症の集団発生にご注意ください。

【No3】ロタウイルス感染症…例年3~4月に流行のピークを迎えます。近年はワクチン接種によって、り患者数の減少が見られていますが、ワクチン未接種の乳幼児が初めてり患した場合は重症化する可能性があります。きわめて感染力の強い疾患ですので、特に乳幼児の育児・医療に携わる方々は注意が必要です。

【No4】新型コロナウイルス感染症…中国国内での新型コロナウイルス感染症の流行拡大は継続しています。1月28日、日本政府は新型コロナウイルス感染症を「指定感染症」と定めることに決定しました。感染経路は飛沫感染・接触感染であり、その対策として最も重要なことは、咳エチケットと手洗いやアルコールなどによる手指衛生を徹底することです。

 感染症ごとに、更に詳しくみていきましょう。

インフルエンザ

 1~4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続きます。通常は1週間前後の経過で軽快しますが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。主な感染経路は、くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染です。他に接触感染もあるといわれています。
 
 インフルエンザの予防には、予防接種を受けることが有効です。予防接種を受けることで、発症率、重症化率の低減につながると言われています。インフルエンザの感染対策とてしては、飛沫感染対策として、咳エチケット。接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト―ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。

インフルエンザ

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)

 溶連菌感染症の症状が疑われる場合は、速やかにかかりつけ医を受診しましょう。溶連菌感染症と診断され、抗菌薬が処方された場合は、医師の指示に従うことが重要です。途中で抗菌薬をやめた場合、病気の再燃や糸球体腎炎などの合併症を来すことが知られています。

 溶連菌感染症は、学童期の小児に最も多く、3歳以下や成人では典型的な症状が現れることは少ないといわれています。症状としては2~5日の潜伏期間を経て、38度以上の発熱と全身倦怠感、のどの痛みによって発症し、しばしばおう吐を伴います。

 また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発しんが広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。また、十分な抗菌薬の投与による治療をおこなわないと、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などを引き起こすことが知られています。

 主な感染経路は、発症者もしくは保菌者(特に鼻咽頭部に保菌している者)由来の飛沫による飛沫感染と濃厚な直接接触による接触感染です。物品を介した間接接触による感染は稀とされていますが、患者もしくは保菌者由来の口腔もしくは鼻腔由来の体液が明らかに付着している物品では注意が必要です。発症者に対しては、適切な抗菌薬による治療が開始されてから48時間が経過するまでは学校、幼稚園、保育園での集団生活は許可すべきではないとされています。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)

ロタウイルス感染症

 ほとんどすべての子どもが4~5歳までに感染します。初感染であれば新生児期を除いて不顕性感染(感染していながら臨床的に確認しうる症状を示さず健康にみえる状態)はまれです。生後6か月以降2歳未満の時期に感染するともっとも重症化しやすいといわれており、入院治療を必要とする乳幼児下痢症の35~52%がロタウイルスによるものです。

 かかりやすいのは乳幼児で、特に1歳児に多く、年齢が上がるにつれだんだんと減っていきます。脱水などのために入院治療が必要となるのはほとんどが就学前(6歳以下)の乳幼児で、2歳未満児(ただし、3か月以上)が過半数を占めます。生涯をとおしてロタウイルス感染は繰り返し起こりますが、一般に年長児や成人は不顕性感染となります。
 
 従来、12~1月に流行し、冬季下痢症と呼ばれてきましたが、最近の日本での流行のピークは3~5月となっています。初冬(11月~1月)に流行するノロウイルス感染症とれ替わるようにロタウイルスの流行がみられ、ウイルス性胃腸炎として二峰性のピークを示すことが最近の日本での流行の特徴です。

ロタウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症

 中国国内において新型コロナウイルス感染症の流行拡大が続いています。日本国内においても、主に武漢への滞在歴・渡航歴がある人を中心に、患者発生が見られています。1月28日、日本政府は新型コロナウイルス感染症を「指定感染症」と定めることに決定しました。

 現在、様々な情報発信・報道が行われていますが、新型コロナウイルス感染症の感染経路は、飛沫感染および接触感染です。その対策として最も重要なことは、咳エチケットと手洗いやアルコールなどによる手指衛生を徹底することです。過剰に心配することなく、これらの基本的な対策をしっかりと行うことが大切です。

新型コロナウイルス感染症:厚生労働省新型コロナウイルスに関するQ&A

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏