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新型コロナウイルス感染症

2019年末頃より「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」が中国の武漢市を中心に出現し、世界中で患者数が増加しています。

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感染症ニュース

【感染症ニュース】2024年梅毒の累積患者報告数は14,663人(52週速報値比較) 医師「過去最高の2023年と同水準。早期検査・早期治療が大切」

国立感染症研究所の感染症発生動向調査週報2024年52週(12/23-29) 速報データによると、去年の梅毒の患者報告数は、14,663人。昨年の14,906人に続く、過去2番目の患者報告数となりました。(※1999年に現在の調査方法で統計を取り始めて以降の数値)
過去2番目とは言え、昨年とほぼ同水準であり、大きな流行が続いています。
都道府県別では、東京都3,703人(3,658人)・大阪府1,906人(1,967人)・福岡県880人(939人)・愛知県846人(817人)・北海道529人(677人)・神奈川県792人(659人)と大都市圏で多くの報告があがっています。※注()内は、昨年の報告数。

【2025年】1月に注意してほしい感染症!新型コロナ変異株XEC流行に注意 医師「社会の一部からの声に惑わされるべきではない」 インフルエンザ冬休み明けの動向要注意

梅毒は、性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)などによってうつる感染症です。原因は梅毒トレポネーマという病原菌で、病名は症状にみられる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに由来します。感染すると全身に様々な症状が出ます。早期の薬物治療で完治が可能です。検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。時に無症状になりながら進行するため、治ったことを確認しないで途中で治療をやめてしまわないようにすることが重要です。また完治しても、感染を繰り返すことがあり、再感染の予防が必要です。

梅毒とはどのような感染症?

梅毒とは、梅毒トレポネーマという病原体により引き起こされる感染症で、主にセックスなどの性的接触により、口や性器などの粘膜や皮膚から感染します。オーラルセックス(口腔性交)やアナルセックス(肛門性交)などでも感染します。また、一度治っても再び感染することがあります。梅毒に感染すると、性器や口の中に小豆や指先くらいのしこりができたり、痛み、かゆみのないほっ疹が手のひらや体中に広がることがあります。また、これらの症状が消えても感染力が残っているのが特徴です。治療しないまま放置していると、数年から数十年の間に心臓や血管、脳などの複数の臓器に病変が生じ、特には死にいたることもあります。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「2024年最後の報告となる第52週の速報データで、昨年と比較すると、過去最高の昨年と同水準となりました。梅毒の患者報告数は、2023年まで、年々増加していましたが、今のところ流行を防止する有効な手段がないというのが現状だと思います。まずは予防し、感染しないための正しい知識を得ること。そして、感染したとしても早期診断・治療を行い、他の人にうつさないことが、流行を抑えるためには必要なことです。梅毒の感染拡大には性風俗産業が大きく関わっていますが、梅毒の正しい知識を持つこと。そして、多くの人に正しい知識を伝えていくことが必要だと考えています」としています。

梅毒の予防法は?

梅毒にかからないためには、感染者との性的な接触を行わないことが最も重要ですが、相手が感染しているかどうかわからないので、性的な接触をする際に、感染しないようにすることが重要です。梅毒の病変の存在に気が付かないこともあるので、性交渉の際はコンドームを適切に使用して、粘膜や皮膚が梅毒の病変に直接接触しないようにしましょう。ただし、コンドームが覆わない部分から感染する可能性もあるため、コンドームで100%予防できると過信はしないようにしましょう。もし皮膚や粘膜に異常を認めた場合は、性的な接触を控え、早めに医療機関を受診して相談しましょう

梅毒の治療法は?

梅毒はペニシリン系などの抗菌薬が有効です。国内では、抗菌薬の内服治療が一般的に行われてきましたが、現在は世界的な標準治療薬であるベンジルペニシリンベンザチン筋注製剤の国内での製造販売が承認されました。早期梅毒であれば1回の注射で、後期梅毒の場合は、3回の注射で治療が可能です。内服治療の場合、内服期間は病期などを考慮して医師が判断します。医師の許可を得るまでは、症状が良くなっても自己判断で内服を中断しないようにしましょう。いずれの場合も医師が全と判断するまでは、性交渉などの感染拡大につながる行為は避けましょう。

梅毒は何度も感染を繰り返す

また。梅毒は完治しても免疫はできないので、再び感染する可能性があります。せっかく完治しても、同じような行動を繰り返すならば、再び感染し、自分もパートナーも辛い思いをすることになります。

感染の不安があるときは、まず検査を

梅毒に感染しているかどうかは、一般的には医師による診察と、血液検査(抗体検査)により、梅毒にかかっているかどうかが判断されます。検査は医療機関のほか、地域によっては保健所などで匿名/無料で検査できるところもあります。感染の可能性がある周囲の方(パートナーなど)も検査を受け、必要に応じて治療を受けることが重要です。また、妊娠している女性は、おなかの赤ちゃんが先天梅毒になるのを防ぐために、妊婦健診を必ず受けましょう。妊娠初期に適切な治療を行えば、先天梅毒の予防に一定の効果があるとされています。

引用
国立感染症研究所:感染症発生動向調査週報 2024年52週(12/23-29)、梅毒合併妊婦に対する治療と先天梅毒の現状(IASR Vol. 44 p195-197: 2023年12月号)

厚生労働省HP:梅毒、梅毒に関するQ&A

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏
感染症ニュース一覧
予防接種における間違いを防ぐために

注意してほしい感染症

2025年1月期

新型コロナウイルス感染症
インフルエンザ
マイコプラズマ肺炎 
伝染性紅斑(りんご病)

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ
咽頭結膜熱
溶連菌感染症
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
百日咳
ヘルパンギーナ
流行性耳下腺炎
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
マイコプラズマ肺炎
情報元:IDWR2024年第52週(2024年12月23日~2024年12月29日)

流行の様子

新型コロナウイルス感染症(COVID-19) インフルエンザ(季節性) マイコプラズマ肺炎 伝染性紅斑
 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

インフルエンザ(季節性)

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

マイコプラズマ肺炎

情報元:IDWR2024年第52週(2024年12月23日~2024年12月29日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

伝染性紅斑

情報元:IDWR2024年第52週(2024年12月23日~2024年12月29日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
びせいぶつ芸能社
風疹ゼロプロジェクト
「水ぼうそう・帯状疱疹」ホントのところ

予防接種トピックス

感染症発生動向調査による小児科定点(約3,000か所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000か所)からの報告数に基づいたデータ解析によります。
感染症発生動向調査とは(厚生労働省ホームページより)
すこやか201 知ってアクション!感染症の予防

予防接種スケジュール

※国立感染症研究所サイト

インフルエンザ情報

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
厚生労働省が12月20日に発表した「インフルエンザの 発生状況について」令和6年第50週(12/9~15) によると全国のインフルエンザ定点当たり報告数は19. 06。前週から9.03から2倍以上の急増で、3週連続 して倍増・・・
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厚生労働省が12月20日に発表した「インフルエンザの 発生状況について」令和6年第50週(12/9~15) によると全国のインフルエンザ定点当たり報告数は19. 06。前週から9.03から2倍以上の急増で、3週連続 して倍増を続けています。全都道府県で前週より増加。大 分と福岡が30を超え警報レベルに。鹿児島、愛媛、佐賀 千葉、愛知、北海道、鳥取、大阪、広島、長野、島根、岐 阜、山口、三重で20を超えています。感染症に詳しい大 阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医 師は「インフルエンザがいよいよ本格的な流行となってい ます。新型コロナが流行する以前は、今年のように急激に 増加するように流行が広がっていきました。ようやく新型 コロナの影響が弱まり、以前のような流行の仕方が戻って きたという印象があります。例年の流行のピークは年明け でしたので、流行の始まりが少し早まっているのか、それ とも今後さらに増加して大きな流行になっていくのかどう かは、注視する必要があると思います。定点当たり報告数 は年によっては60近くまで増加することもありました」
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