「感染症・予防接種ナビ」は、広島テレビ放送が運営しており、厚生労働科学研究「ワクチンで予防可能な疾病のサーベイランスとワクチン効果の評価に関する研究」(研究代表者・鈴木基)の 「ワクチンの有効性、安全性、啓発に関する研究」(研究分担者・岡部信彦)の研究活動の一部に協力しています。
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新型コロナウイルス感染症

2019年末頃より「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」が中国の武漢市を中心に出現し、世界中で患者数が増加しています。

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感染症ニュース

【感染症ニュース】インフルエンザ全国定点21.66で一転増加 コロナ定点1.95と下げ止まり感 専門医「コロナ増加の可能性否定できない」

厚生労働省が、2023年11月24日に発表した「インフルエンザの発生状況について」第46週(11/13-11/19) によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は21.66。前週は、17.35と減少しましたが、今週は、一転、増加しました。また、同日に発表された第46週(11/13-11/119)の新型コロナウイルス感染症の定点報告数は、1.95と、先週の2.01から微減しています。インフルエンザは増加に転じ、新型コロナは下げ止まりの印象がありますが、現状について、感染症の専門医に伺いました。

【2023年】11月に注意してほしい感染症!専門医「インフルエンザ流行規模は予測不能 溶連菌感染症の動向気がかり 季節外れの流行のアデノウイルス感染症も…」 要注意は梅毒

感染症の専門医は…

感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「第46週(11/6-11/12)のインフルエンザの全国定点報告数は、増加に転じました。先週の報告数は、その前の週から減少していましたが、『学校サーベイランス』の情報では、翌週も、流行がお子さんの間で継続していることがみてとれました。流行に、地域差はあるものの引き続き、注意が必要です。11月も末になり、寒さが増してきました。低気温・低湿度といった本来のウイルスの流行に適した環境に近づきつつあることから、今後の患者報告数の動向には注意してください」としています。また、新型コロナウイルス感染症について、安井医師は「新型コロナウイルス感染症の患者報告数は、全国的には下火になっています。しかし、大阪府のデータをみると、下げ止まり感が出てきており、これから、増加に転じる可能性も否定できません。これまで、1-2月に流行がみられることから、12月あたりから、患者報告数が増えてくる可能性もあります。今後、いつ増えてくるか予測がつきません。引き続き注意が必要です」としています。

インフルエンザ症状と対策

インフルエンザは、1~4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続きます。通常は1週間前後の経過で軽快するが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染が主な感染経路です。他に接触感染もあるといわれています。飛沫感染対策として、咳エチケット。接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト-ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。

新型コロナウイルス感染症とは

新型コロナウイルス感染症は、発熱・鼻水・のどの痛み・咳などといった、風邪のような症状から始まります。また、頭痛や強い倦怠感などが良く見られる症状です。下痢や味覚・嗅覚障害を伴うことも少なくはありません。感染者の口や鼻から、咳、くしゃみ、会話等のときに排出される、ウイルスを含む飛沫又はエアロゾルと呼ばれる更に小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接的に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内の近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不じゅうぶんであったり、混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。最も重要な対策は、咳エチケットと手洗い・アルコール消毒など手指衛生を徹底することです。手洗いが大切な理由は、ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、自分の手にもウイルスが付着している可能性があるからです。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。また、感染拡大を防ぐため、人と人との距離を保つことが重要です。

引用
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」「インフルエンザの発生状況について」令和5年第46週、インフルエンザQ&A、新型コロナウイルスに関するQ&A

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏
感染症ニュース一覧
予防接種における間違いを防ぐために

注意してほしい感染症

2023年11月期

インフルエンザ
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
咽頭結膜熱
新型コロナウイルス感染症

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ
咽頭結膜熱
溶連菌感染症
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
百日咳
ヘルパンギーナ
流行性耳下腺炎
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
マイコプラズマ肺炎
情報元:IDWR2023年第46週(2023年11月13日~2023年11月19日)

流行の様子

インフルエンザ(季節性) A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 咽頭結膜熱 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
 

インフルエンザ(季節性)

10月末に、当院の職員もインフルエンザワクチンの一斉接種が始まりました。ワクチン接種から、抗体ができるまで、約2-4週間かかり、持続期間は半年ほどと言われています。流行のピーク時期の予測は困難で、遅めに接種するとピーク時期に間に合わない可能性もあります。身の回りの流行に不安がある方は、接種を検討してください。インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられています。日本でのインフルエンザの流行は、例年11月下旬から12月上旬にかけて始まり、1月下旬から2月上旬にピークを迎え3月頃まで続きます。しかし、今季はシーズン入り前から、一定程度の患者報告数があり、例年の同時期に比べると高い水準でのシーズン入りとなりました。シーズン入りしてからは、首都圏などで、急激な増加をみせました。地域差や増加の幅など流行の動向がつかみにくいため、注意が必要です。主な感染経路は、くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染で、他に接触感染もあるといわれています。飛沫感染対策として、咳エチケットや接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト-ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。「学校サーベイランス」の情報では、お子さんの間で流行しています。今後、お子さんから、家庭に持ち込まれるケースも考えられるため、身の回りの流行状況に注意し、家庭内感染を広げないことが大切です。
情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) は、学校・幼稚園・保育園などでの流行が多くみられます。新学期が始まり、一定程度、増えることは予測していましたが、余りにも急激に増加しているので、注意が必要です。増え方のスタート地点が高かったため、今後、大きな流行となる可能性もあります。特に、小学校低学年のお子さんや幼稚園・保育園のお子さんは、注意が必要でしょう。溶連菌感染症は、例年、冬季および春から初夏にかけての2つの報告数のピークが認められています。保育所や幼稚園の年長を含め、学童を中心に広がるので、学校などでの集団生活や、きょうだい間での接触を通じて感染が広がるので、注意しましょう。感染すると、2~5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。発熱や咽頭痛など、新型コロナの症状と似ており区別がつきにくいため、症状が疑われる場合は速やかにかかりつけ医を受診しましょう。主な感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。感染の予防には手洗い、咳エチケットなどが有効です。
情報元:IDWR2023年第46週(2023年11月13日~2023年11月19日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

咽頭結膜熱

咽頭結膜熱は、例年6月から7月にかけて流行がピークを迎える感染症です。しかし、10月末時点でも、患者報告数が多くみられます。注意が必要です。症状は風邪とよく似ていますが、発熱、咽頭痛、結膜炎です。発熱は5日間ほど続くことがあります。眼の症状は一般的に片方から始まり、その後、他方に症状があらわれます。高熱が続くことから、新型コロナウイルス感染症とも間違えやすい症状です。吐き気、強い頭痛、せきが激しい時は早めに医療機関に相談してください。感染経路は、主に接触感染と飛沫感染です。原因となるアデノウイルスの感染力は強力で、直接接触だけではなくタオル、ドアの取っ手、階段やエスカレーターの手すり、エレベーターのボタン等の不特定多数の人が触る物品を介した間接的な接触でも、感染が広がります。特異的な治療方法はなく、対症療法が中心となります。眼の症状が強い時には、眼科的治療が必要となることもあります。予防方法は、流水・石鹸による手洗いとマスクの着用です。物品を介した間接的な接触でも感染するため、しっかりと手を洗うことを心がけてください。
情報元:IDWR2023年第46週(2023年11月13日~2023年11月19日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

10月末時点で、全国的に、患者報告数は、いったん落ち着いています。しかし、今後、感染者数がどのように推移するか、引き続き注意が必要です。2023年5月から、5類に移行しましたが、今でも、少ないながら、入院が必要なケースもあります。勤務先の病院に入院する患者さんの中には、肺炎を発症し、人工呼吸が必要なケースもあります。症状が悪化され搬送されてくるのは、ワクチン未接種の方が多い印象です。合併症の恐れがある方は、特に注意が必要です。ワクチンを接種した後も、基本的な感染対策を続けるなど決して油断しないでください。体調不良の場合や医療機関・高齢者施設を訪問の際はマスクの着用は必須です。今後の動向は、不明ですが、例年、12月に向け、患者方向数が上がってくるので、現時点で、警戒を解くわけにはいきません。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
びせいぶつ芸能社
風疹ゼロプロジェクト
「水ぼうそう・帯状疱疹」ホントのところ

予防接種トピックス

感染症発生動向調査による小児科定点(約3,000か所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000か所)からの報告数に基づいたデータ解析によります。
感染症発生動向調査とは(厚生労働省ホームページより)
すこやか201 知ってアクション!感染症の予防

予防接種スケジュール

※国立感染症研究所サイト

インフルエンザ情報

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
厚生労働省「インフルエンザの発生状況について」第42 週(10/16-22)によると、全国のインフルエンザ 定点当たり報告数は、16.41。前週の11.07から 5.34ポイント上昇しました。先週から全国で「注意報 レベル(・・・
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厚生労働省「インフルエンザの発生状況について」第42 週(10/16-22)によると、全国のインフルエンザ 定点当たり報告数は、16.41。前週の11.07から 5.34ポイント上昇しました。先週から全国で「注意報 レベル(報告数が10)」を超えています。先週と同じく 首都圏と四国・九州の報告数が多く、東海地方でも大きく 伸びています。感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院 の安井良則医師は「インフルエンザの流行にしては緩やか で、急増というよりは着実に増え続けています。例年より 早めに流行が始まり、10月に入っても更に増加が継続し ています。このまま患者報告数の増加が続く可能性も高く 11月に向けて本格的な流行に入る地域も考えられます。 今後、流行に勢いがつけば、更なる増加に繋がる可能性も あります。学校等欠席者・感染症情報システム『学校サー ベイランス』のデータでは、現在、子どもの間で流行して いることが見て取れます。今後、学校での流行が家庭内に 持ち込まれ、大人に広がるケースも否定できません。今後 の患者報告数の動向には注意してください」としています
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