「感染症・予防接種ナビ」は、広島テレビ放送が運営しており、厚生労働科学研究「ワクチンで予防可能な疾病のサーベイランスとワクチン効果の評価に関する研究」(研究代表者・鈴木基)の 「ワクチンの有効性、安全性、啓発に関する研究」(研究分担者・岡部信彦)の研究活動の一部に協力しています。
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新型コロナウイルス感染症

2019年末頃より「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」が中国の武漢市を中心に出現し、世界中で患者数が増加しています。

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感染症ニュース

【感染症ニュース】2歳園児不機嫌・目ヤニ・最高39.5℃の発熱 看病疲れで保護者絶望… 咽頭結膜熱全国定点3.54で過去最多更新

国立感染症研究所の第47週(11/20-26)速報データによると、咽頭結膜熱の全国の定点あたりの報告数は3.54。過去最多を更新した前週の3.3からは、微増でしたが、それでも増加が続いています。現在の方法で集計を始めた1999年以来最多であり、全国でも患者報告数が3を超える警報レベルが継続しています。都道府県別では、北海道が7.99と、前週の6.88から更に増加し、最多となっています。また先週、減少に転じたかに見えた福岡県は、7.24と、前週の6.58から増加しています。その他、九州、北陸、近畿地方でも、警報レベルの3.0を超える府県が多く、引き続き注意が必要と言えます。

【2023年】12月に注意してほしい感染症!感染症の流行に適した季節に 専門医「インフルエンザ引き続き要注意 溶連菌感染症過去最高の恐れも…」 要注意は新型コロナウイルス感染症
今回の経験談は、保育園に通う、兵庫県・2歳の方の経過について、保護者の方がお送りくださいました。

2歳 兵庫県(保護者の方からの投稿)

1番下の子の体験談です。
2歳10ヶ月。1日目朝は特に変わらず元気に保育園登園。昼過ぎ園から電話→38.5℃あります。急いでお迎え行って帰宅しましたがその時で同じ38.5℃。1週間前まで園でインフルが猛威を奮っていたのでまさか?と思いつつ、その日はお風呂だけササっと終わらせて、晩御飯も「要らない!」と怒るので早々に寝かせました。発熱からなのが涙目。
2日目 体温39.5℃。朝イチ小児科行ってコロナとインフルの検査をしてもらうも陰性。薬も貰わず。その日は金曜日だったので、月曜日なってもまだ熱が下がらなければ再受診はして、と言われる。1日通して水分は取れるが、ご飯は食欲がないみたいで、小さなおにぎりを1個食べるのがやっとと言う感じでした。1日目2日目が主に吐き気もあったみたいで、常に嘔吐用の桶を自分の横に置いていました(自分で)1日通して39℃超え。
3日目 この日も朝から39℃。周りからインフルの検査早かったのでは?と言われる。朝イチ違う病院行って検査してもらうも、やはりコロナインフル陰性。この頃から目からうっすら目ヤニが。1日通して39℃超え。
4日目 1日ぐったり。ずっと寝ている。でも熱が高過ぎてしんどいのか寝てもすぐ起きていました。この日の夜初めて40℃超え。ここまで高熱続くのが今までなく、1度解熱剤使うも1度しか下がらず、5時間経つと急激に体温上がるからかガタガタ震え出すから、可哀想で、その後は使うのを躊躇いました。
5日目月曜日 最初の病院に再受診。先生に高熱が続いている(主に昼間38.5℃〜夜39.5℃)あと目ヤニが酷いです、と伝えると「アデノっぽいな〜」と言われる。喉を見た瞬間「アデノやわ!喉が完全に!」と言われましたが、念の為に検査→アデノウイルス陽性でした。先生に「アデノはね、あと2日は熱続くんちゃうんかな〜」と言われる。既に発熱から5日経っているのに?と絶望。この日から咳と鼻水が出だしました。
6日目 この日は朝イチ計測で37.3℃!ついに解熱!?と思いましたが、夕方辺りからまた熱があがり出して39℃。食欲は無く、この頃は当初たべていたゼリーも拒否し出すように。ひたすらお茶と乳酸菌飲料を飲んでいました。鼻水が凄くて10分に1回は鼻をかんでいる状態です。
7日目 朝イチ計測36.8℃。1日通しても36.8〜37.5でほぼ熱は上がらず。やっと解熱したー!と安心したのを覚えています。解熱はしましたが鼻水と咳はまだ酷く、それが原因なのかとにかく機嫌が悪かったです。
その後熱は上がらず、徐々に咳と鼻水は治まってきました。
・39.5〜38.5熱
・目ヤニ
・喉が痛いからか食欲無し
・機嫌悪い
・滝のような鼻水
・咳
・唇が常に乾いていて皮剥け
過去コロナもインフルも突発もRSもヒトメタも手足口病もヘルパンギーナも胃腸炎にもなった事ありますが(上の子も含め)アデノウイルスは初めてでした。
とにかく機嫌悪くて何するにも5秒で怒る、離れると怒る、で看病している私のストレスがヤバかったです。途中旦那に替わってもらいながら何とか乗り切りました。高熱が続くしんどさは本人にしか分からないし、とても可哀想でした。出来れば二度とかかりたくないです。これまでで、1番やっかいな病気だな、と思いました。

感染症の専門医は…

感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「咽頭結膜熱が、過去最多を更新し続けています。ここ3年間、大きな流行がみられなかったのが要因と考えられます。咽頭結膜熱は、アデノウイルスに感染することによって起こる感染症で、ウイルスが検出され、発熱・ノドの痛み・結膜炎の3つの症状が揃って、初めて咽頭結膜熱という病名がつきます。しかしその3つが揃わない場合もあるので、最近は『アデノウイルス感染症』と呼ぶ場合もあります。検査キットがあるため、小児科などで判定が可能です。今回の経験談ですが、直接、診察した訳ではないので、不明な部分もありますが、6日間も、発熱が続いたとあるので、お子さんも、保護者の方もしんどかったろうなと思います。アデノウイルス感染症については、抗ウイルス薬が無く、基本的に自力で治すしかありません。解熱剤が処方されたようですが、使っても使わなくても、症状の経過は、変わりません。典型的な症例は、発熱が4日ほど続くとされています。お子さんの高熱時に服用させても問題ないですが、小児科医の方は、『解熱剤は、最小限に』と言われる場合が多いです。発熱が、いったん治まれば、お子さんも楽になって、食事ができる場合もあります。お子さんの状態をみながら、服用させるといいでしょう。話は変わりますが、『アデノウイルス感染症は、治療薬が無いので、医療機関で、診察を受けても意味がないのでは?』との話を耳にしました。現在、インフルエンザや溶連菌感染症なども流行しており、医師の診断を受けず、自分で勝手に判断すると、実は、違う病気だと言うケースもあります。体調が悪い場合は早めに医療機関を受診して、どのような病気にかかっていることを知ることで、適切な対応をとることができます。これはご自身のためでもありますが、無理をしてほかの人にうつさないためと言う意味もあります。特に、お子さんの場合、体調が悪そうなら、すぐに医療機関を受診させることが大切です」としています。

咽頭結膜熱とは?

咽頭結膜熱とは、アデノウイルスが原因の感染症です。症状としては、38~39℃の発熱、ノドの痛み、結膜炎があります。5〜7日の潜伏期間の後に発症。まず発熱があり、頭痛、食欲不振、全体倦怠感とともに、咽頭炎による咽頭痛、結膜炎に伴う結膜充血、眼痛などがあり、3〜5日程度持続します。特に治療法はなく、対症療法が中心となります。子どもに多い感染症で、罹患年齢は5歳以下が約6割を占めているというデータもあります。生後14日以内の新生児に感染した場合は、全身性感染を起こしやすく、重症化する場合があることが報告されています。

感染経路は?流行時期は?

咽頭結膜熱は、通常飛沫感染、あるいは手指を介した接触感染でうつります。プールの水や、タオルを共用することで感染が広がることで「プール熱」と呼ばれることもあります。なお、プール熱という名前の方が一般的に知られるようになり、プールに入ったら感染してしまうなどというイメージを持っている方もいらっしゃいますが、残留塩素濃度の基準を満たしているプールの水を介して感染することはほとんどありません。かつては例年、夏に流行のピークがあり、秋から冬にかけても患者が増加傾向になりました。しかし、今年の流行の傾向は過去には全くなかったことです。

引用
国立感染症研究所:「IDWR速報データ2023年第47週」「咽頭結膜熱とは」「アデノウイルスの種類と病気」
厚生労働省:咽頭結膜熱について

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏
感染症ニュース一覧
予防接種における間違いを防ぐために

注意してほしい感染症

2023年12月期

インフルエンザ
咽頭結膜熱
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
感染性胃腸炎(ノロウイルス感染症)

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ
咽頭結膜熱
溶連菌感染症
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
百日咳
ヘルパンギーナ
流行性耳下腺炎
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
マイコプラズマ肺炎
情報元:IDWR2023年第47週(2023年11月20日~2023年11月26日)

流行の様子

インフルエンザ(季節性) 咽頭結膜熱 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎(ノロ・ロタ・他)
 

インフルエンザ(季節性)

インフルエンザの予防接種が始まっています。ワクチン接種から、抗体ができるまで、約2-4週間かかり、持続期間は半年ほどと言われています。遅めに接種するとピーク時期に間に合わない可能性もあります。身の回りの流行に不安がある方は、接種を検討してください。インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられています。日本でのインフルエンザの流行は、例年11月下旬から12月上旬にかけて始まり、1月下旬から2月上旬にピークを迎え3月頃まで続きます。しかし、今季はシーズン入り前から、一定程度の患者報告数があり、例年の同時期に比べると高い水準でのシーズン入りとなりました。シーズン入りしてからは、首都圏などで、急激な増加をみせました。地域差や増加の幅など流行の動向がつかみにくいため、注意が必要です。主な感染経路は、くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染で、他に接触感染もあるといわれています。飛沫感染対策として、咳エチケットや接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト-ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。国立感染症研究所の第45週(11/6-11/12)の速報値では、いったん減少に転じていますが、「学校サーベイランス」の情報では、翌週も、流行がお子さんの間で、継続していることが分かります。引き続き、注意が必要でしょう。今後、お子さんから、家庭に持ち込まれるケースも考えられるため、身の回りの流行状況に注意し、家庭内感染を広げないことが大切です。
情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

咽頭結膜熱

咽頭結膜熱の患者報告数は、11月に入った時点で、過去最高の流行をみせています。感染症の動向を、長年に渡り調査・分析していますが、このような動きは、今までありませんでした。咽頭結膜熱は、アデノウイルスを原因とする感染症です。症状は風邪とよく似ていますが、発熱、咽頭痛、結膜炎です。発熱は5日間ほど続くことがあります。眼の症状は一般的に片方から始まり、その後、他方に症状があらわれます。高熱が続くことから、新型コロナウイルス感染症とも間違えやすい症状です。吐き気、強い頭痛、せきが激しい時は早めに医療機関に相談してください。最近では、アデノウイルスの検査キットが普及したことも手伝い、発熱・咽頭痛・結膜炎の3つの症状が一度に出ない場合は、咽頭結膜熱ではなく、「アデノウイルス感染症」と診断されることもあります。感染経路は、主に接触感染と飛沫感染です。原因となるアデノウイルスの感染力は強力で、直接接触だけではなくタオル、ドアの取っ手、階段やエスカレーターの手すり、エレベーターのボタン等の不特定多数の人が触る物品を介した間接的な接触でも、感染が広がります。特異的な治療方法はなく、対症療法が中心となります。眼の症状が強い時には、眼科的治療が必要となることもあります。予防方法は、流水・石鹸による手洗いとマスクの着用です。物品を介した間接的な接触でも感染するため、しっかりと手を洗うことを心がけてください。
情報元:IDWR2023年第47週(2023年11月20日~2023年11月26日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) は、学校・幼稚園・保育園などでの流行が多くみられます。幼稚園・保育園・小学校など集団生活の場で、流行することなどから、一定程度、増えることは予測していましたが、余りにも急激に増加しているので、注意が必要です。今後、過去最高レベルの流行となる可能性もあります。特に、小学校低学年のお子さんや幼稚園・保育園のお子さんは、注意が必要でしょう。溶連菌感染症は、例年、冬季および春から初夏にかけての2つの報告数のピークが認められています。保育所や幼稚園の年長を含め、学童を中心に広がるので、学校などでの集団生活や、きょうだい間での接触を通じて感染が広がるので、注意しましょう。感染すると、2~5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。発熱や咽頭痛など、新型コロナの症状と似ており区別がつきにくいため、症状が疑われる場合は速やかにかかりつけ医を受診しましょう。主な感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。感染の予防には手洗い、咳エチケットなどが有効です。
情報元:IDWR2023年第47週(2023年11月20日~2023年11月26日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

感染性胃腸炎(ノロ・ロタ・他)

感染性胃腸炎の一つである、ノロウイルス感染症は保育所や幼稚園、小学校などの集団生活で多くみられる感染症です。ノロウイルスに感染すると、多い時には10回以上のおう吐や下痢の症状が続きます。そのおう吐物や下痢便には、ウイルスが大量に含まれ、わずかな量のウイルスが体の中に入っただけで、容易に感染します。ノロウイルス感染症は有効とされるワクチンや薬がまだ開発されていないため、対症療法を行います。下痢止めを飲むと、ウイルスが体内に残ってしまうため、飲まないようにしましょう。嘔吐や下痢が続いている時は、脱水症状に注意して下さい。水分を補給する際には、電解質輸液が効果的です。ウイルスが付着していると考えられる物品の消毒については、次亜塩素酸ナトリウム系(塩素系消毒剤)を用いて行いましょう。使用する濃度は500ppm以上が推奨されます。嘔吐や下痢などの症状が改善しても24時間は、自宅で様子をみるようにしましょう。症状がなくなったからといって、登園もしくは登校させると、集団感染につながるおそれがあります。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
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「水ぼうそう・帯状疱疹」ホントのところ

予防接種トピックス

感染症発生動向調査による小児科定点(約3,000か所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000か所)からの報告数に基づいたデータ解析によります。
感染症発生動向調査とは(厚生労働省ホームページより)
すこやか201 知ってアクション!感染症の予防

予防接種スケジュール

※国立感染症研究所サイト

インフルエンザ情報

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
厚生労働省が11月24日に発表した「インフルエンザの 発生状況について」令和5年第46週(11/13-11 /19)によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告 数は21.66。前週(45週)から約25%増加しまし た。ほと・・・
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厚生労働省が11月24日に発表した「インフルエンザの 発生状況について」令和5年第46週(11/13-11 /19)によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告 数は21.66。前週(45週)から約25%増加しまし た。ほとんどの都道府県で増加が見られ、北海道、宮城、 長野、佐賀で警報レベルとなる30を超えています。感染 症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、 「45週で報告数が減少しましたが、46週で再び増えて います。新型コロナウイルスの流行以前は、冬になるこの 時期からインフルエンザの患者が急増していましたが、今 年は流行の始まりが早かった割には、患者数の増加がゆる やかになっています。例年の流行と傾向が異なるため、こ の先の予測が難しいですが、全国的に気温が低下して流行 しやすい環境になっていくため、患者数はさらに増加して いくのではないかと思っています」としています。また、 子どもたちの間でのインフルエンザの流行は続いており、 46週では全国で3954の施設で学級閉鎖などが起きま した(休校68、学年閉鎖958、学級閉鎖2928)。
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