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新型コロナウイルス感染症

2019年末頃より「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」が中国の武漢市を中心に出現し、世界中で患者数が増加しています。

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感染症ニュース

【感染症ニュース】ノロ?ロタ?感染性胃腸炎が流行の兆し! ロタ感染54歳白色便性下痢・発熱・腹痛 医師「特徴的な白色便性下痢の症状」

感染性胃腸炎に感染する人が多くなっています。国立感染症研究所の2025年第9週(2/24-3/2)速報データでは、定点当たり報告数は9.83。前週よりは若干少なくなったものの、近年では見られなかった高水準で感染者が発生しています。この週も21の都府県で、定点当たり報告数が10を超えています。多い順では大分23.22、愛媛17.17、熊本17.06、鹿児島16.80、香川15.96、宮崎13.89、山梨13.83、福岡13.63、東京13.03、広島12.14と西日本が多くなっています。

【3月に注意してほしい感染症!】RSウイルス感染症堅調に増加 伝染性紅斑(りんご病)は増加の予測 医師「麻しんの患者発生状況を注視。3月以降も注意」

冬の感染性胃腸炎の多くは、ノロウイルスが原因

感染性胃腸炎は、さまざまな細菌やウイルス、寄生虫が病原体である感染症の総称で、発熱、下痢、悪心、おう吐、腹痛などが起こります。特に冬に流行する感染性胃腸炎の原因としては、ノロウイルスがあります。ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口から感染し、ヒトの腸管で増殖。おう吐、下痢、腹痛などを起こします。健康な方は軽症で回復しますが、子どもや高齢者などでは重症化の可能性があり、吐物を誤って気道に詰まらせて、死に至ることもあります。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長の安井良則医師は「冬の感染性胃腸炎というとノロウイルスというイメージがあると思いますが、国立感染症研究所のデータでは、ウイルス性の胃腸炎も細菌性の胃腸炎もまとめてカウントされています。なので、実際はノロウイルス以外の原因での感染性胃腸炎も増えている可能性があります。同じウイルス性の胃腸炎、ロタウイルスによる感染性胃腸炎は別に統計がとられているのですが、そちらの患者数も増え始めています。新型コロナウイルスの流行以降、さまざまな感染症が影を潜めていましたが、感染性胃腸炎の原因となるウイルスや細菌の流行も再び始まったという印象です」と語っています。

ロタウイルスによる胃腸炎とは?

ロタウイルスは感染力が強く、ごくわずかなウイルスが体内に入るだけで感染してしまいます。普通は5歳までにほぼ全ての子どもがロタウイルスに感染すると言われています。主な症状は、水のような下痢、吐き気、嘔吐(おうと)、発熱、腹痛です。乳幼児は激しい症状が出ることが多く、始めて感染した時には特に症状が強く出ます。脱水症状がひどくなると点滴が必要となったり入院が必要になることがあります。大人はロタウイルスの感染を何度も経験しているため、ほとんど症状が出ません。

《経験談》ロタウイルス感染症 54歳埼玉

しかし54歳の方から、ロタウイルス感染症の経験談が寄せられました。
「久しぶりの飲み会に参加して帰宅した夜に腹痛があり夜中に4回ほどトイレに行くも全て下痢で何かの食べ物にあたったとのかと思っていました。翌日、全身倦怠感・微熱・吐気があったものの、なんとか出社したところ、悪寒がするようになり、腹痛症状がひどくなったため、退社して病院を受診したところ、ロタウイルスの胃腸炎と診断されました。解熱剤・吐気止め・整腸薬を処方され、ほとんど横になっていたところ、夕方に熱が39.2度まであがり、1時間おきにトイレにいっていました。トイレでは、ほとんど水のような白色の下痢がでてくるだけでした。夜中になっても腹痛が治まらず、何度もトイレに行ってほとんど眠れませんでした。次の日は、熱は38度台に下がったものの、トイレに行く回数は30分置きになりました。この時点でこれを書いています」

安井医師は…

安井医師「経験談をお寄せくださり、ありがとうございます。数は多くは無いですが、私の勤務先を受診された方の中でも、ロタウイルスに感染された方が来院されています。今回も、直接診察した訳では無いので、分からない点もありますが、特徴的な白色便性下痢や検査の結果から、ロタウイルス感染症と診断されたのだと考えます。検査については、キットがあるため結果は、すぐに分かります。お子さんの感染症のイメージがあるかもしれませんが、何度も、感染を繰り返すため大人が発症するケースもあります。残念ながら、ロタウイルスに効果のある薬は無く、対症療法のみです。下痢が長く続くと、脱水症状を引き起こし、点滴治療が必要になる場合もあります。水分補給にじゅうぶん注意してください。また、嘔吐物や便が飛散すると、二次感染の原因にもなります。アルコール消毒は効きにくいため、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤)を使用してください」としています。

ロタウイルスワクチンの定期接種は、生後6週から

初感染では症状が重くなる可能性があるロタウイルス。現在、ロタウイルスワクチンは定期接種になっています。初回の接種は生後6週から接種することができ、生後14週6日までに受けることが推奨されています。ワクチンには2回接種と3回接種があるので、詳しくはかかりつけ医にご相談ください。

引用
国立感染症研究所 感染症発生動向調査週報 2025年第9週(2/24-3/2)速報データ
厚生労働省:ロタウイルスに関するQ&A、ロタウイルスワクチン

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長 安井良則氏
感染症ニュース一覧
予防接種における間違いを防ぐために

注意してほしい感染症

2025年3月期

RSウイルス感染症
ヒトメタニューモウイルス感染症
伝染性紅斑(りんご病)
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ
咽頭結膜熱
溶連菌感染症
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
百日咳
ヘルパンギーナ
流行性耳下腺炎
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
マイコプラズマ肺炎
情報元:IDWR2025年第9週(2025年2月24日~2025年3月2日)

流行の様子

RSウイルス感染症 ヒトメタニューモウイルス感染症 伝染性紅斑 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
 

RSウイルス感染症

報告数
北海道
143
青森
18
岩手
14
宮城
45
秋田
7
山形
15
福島
40
茨城
71
栃木
52
群馬
80
埼玉
172
千葉
71
東京
157
神奈川
163
新潟
57
富山
11
石川
38
福井
64
山梨
17
長野
70
岐阜
105
静岡
67
愛知
166
三重
99
滋賀
41
京都
81
大阪
354
兵庫
298
奈良
125
和歌山
57
鳥取
16
島根
9
岡山
41
広島
122
山口
220
徳島
32
香川
22
愛媛
92
高知
16
福岡
280
佐賀
56
長崎
43
熊本
103
大分
68
宮崎
74
鹿児島
82
沖縄
10
情報元:IDWR2025年第9週(2025年2月24日~2025年3月2日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

ヒトメタニューモウイルス感染症

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

伝染性紅斑

情報元:IDWR2025年第9週(2025年2月24日~2025年3月2日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

情報元:IDWR2025年第9週(2025年2月24日~2025年3月2日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
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「水ぼうそう・帯状疱疹」ホントのところ

予防接種トピックス

感染症発生動向調査による小児科定点(約3,000か所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000か所)からの報告数に基づいたデータ解析によります。
感染症発生動向調査とは(厚生労働省ホームページより)
すこやか201 知ってアクション!感染症の予防

予防接種スケジュール

※国立感染症研究所サイト

インフルエンザ情報

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
厚生労働省が12月20日に発表した「インフルエンザの 発生状況について」令和6年第50週(12/9~15) によると全国のインフルエンザ定点当たり報告数は19. 06。前週から9.03から2倍以上の急増で、3週連続 して倍増・・・
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厚生労働省が12月20日に発表した「インフルエンザの 発生状況について」令和6年第50週(12/9~15) によると全国のインフルエンザ定点当たり報告数は19. 06。前週から9.03から2倍以上の急増で、3週連続 して倍増を続けています。全都道府県で前週より増加。大 分と福岡が30を超え警報レベルに。鹿児島、愛媛、佐賀 千葉、愛知、北海道、鳥取、大阪、広島、長野、島根、岐 阜、山口、三重で20を超えています。感染症に詳しい大 阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医 師は「インフルエンザがいよいよ本格的な流行となってい ます。新型コロナが流行する以前は、今年のように急激に 増加するように流行が広がっていきました。ようやく新型 コロナの影響が弱まり、以前のような流行の仕方が戻って きたという印象があります。例年の流行のピークは年明け でしたので、流行の始まりが少し早まっているのか、それ とも今後さらに増加して大きな流行になっていくのかどう かは、注視する必要があると思います。定点当たり報告数 は年によっては60近くまで増加することもありました」
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