【感染症ニュース】マイコプラズマ肺炎 依然過去最大の流行 9月後半には更に患者数が増大か… 医師「潜伏期間比較的長い」
国立感染症研究所の2024年第34週(8/19-25)速報データによると、この週の「マイコプラズマ肺炎」定点あたり報告数は1.17。前週より0.13の減少となりましたが、2005年以来の統計では過去最大の流行となっています。
【2024年】9月に注意してほしい感染症!新型コロナ9月上旬まで要警戒 マイコプラズマ肺炎・溶連菌感染症は学校再開後の動向に注意 医師「インフルエンザ早ければ9月から流行」 マイコプラズマ肺炎とは?マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」に感染することによって起こる呼吸器感染症です。肺炎マイコプラズマは、自己増殖が可能な最小の微生物で、生物学的には細菌に分類されています。小児や若い人の肺炎の原因としては比較的多いものの一つで、例年患者として報告されるもののうち約80%は14歳以下ですが、成人の報告も見られます。マイコプラズマ肺炎は1年を通じてみられますが、冬にやや増加する傾向があります。去年(2023年)は中国で大きな流行に中国では去年、小児の呼吸器感染症が大きく流行し、北京市や遼寧省などでは小児病院の外来が混雑したということです。北京と遼寧省とは800km程度離れていることから、より広い地域で患者が発生した可能性があります。その呼吸器感染症の原因として、マイコプラズマ肺炎があったと考えられています。感染経路は?感染は患者のせきの飛沫を吸いこんだり(飛沫感染)、患者と身近で接触したりすることにより感染(接触感染)すると言われています。家庭のほか学校などの施設内でも感染の伝播がみられます。感染してから発症するまでの潜伏期間は長く、2〜3週間くらいとされています。感染症に詳しい医師は…感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長の安井良則医師は「マイコプラズマ肺炎は潜伏期間が2〜3週間と長いため、今週下がったとはいえ、再び増加する可能性があります。9月に入り多くの地方で学校が再開したと思いますが、そこで感染が広がって、9月の後半には大きな流行になる可能性もあります。過去の流行時のデータをみても、第34週付近で、いったん下落の後、増加していくことがありました。今後も十分な警戒が必要です」と語っています。症状は?発熱や全身けん怠感(だるさ)、頭痛、たんを伴わない咳などの症状がみられます。せきは少し遅れて始まることもあります。咳は熱が下がったあとも長期にわたって(3〜4週間)続くのが特徴です。多くの人はマイコプラズマに感染しても気管支炎ですみ、軽い症状が続きますが、一部の人は肺炎となり、重症化することもあります。一般には、小児の方が軽くすむといわれています。合併症の可能性もさらには合併症としては、中耳炎、無菌性髄膜炎、農園、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群などが挙げられます。治療法は?マイコプラズマ肺炎は、マクロライド系などの抗菌薬で治療します。軽症で済む人が多いですが、重症化した場合は、入院して治療が行われます。また、マクロライド系抗菌薬が効かない耐性菌に感染した場合は、他の抗菌薬で治療します。安井医師「マイコプラズマ肺炎は、早めの治療が重要です。耐性菌に感染しているおそれもあるので、医療機関を受診し、適切な治療を受けていただくことが、重症化や合併症を防ぐことになります」 ただし、成人で肺炎を伴わない気管支炎であれば、抗菌薬による治療を行わないことが推奨されています。 予防法は?飛沫感染はインフルエンザや新型コロナなどでも起きるので、同じ感染対策が有効です。普段からの手洗い、そして部屋の換気。患者の咳から感染するので、咳の症状がある場合にはマスクを着用するなど、咳エチケットも重要です。また、接触感染の可能性もあるので、家族間でもタオルの共用を避けるようにしましょう。
引用 国立感染症研究所:IDWR速報データ令和6年第34週(8/19-25)、マイコプラズマ肺炎とは、中国で小児を中心に増加が報じられている呼吸器感染症について(2023年11月24日時点) 厚生労働省:マイコプラズマ肺炎に関するQ&A(平成23年12月作成、平成24年10月改訂) 取材 大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長 安井良則氏 |
2024年9月期
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監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
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