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 国立感染症研究所の第3週(1/17~23)のデータによると、RSウイルス感染症の定点当たり報告数が、九州地方を中心に増加傾向です。地域別に多い順では、長崎県(5.14人)、宮崎県(3.64人)、熊本県(3.06人)です。昨年の同時期(2021年第3週)のデータをみると、定点当たり患者報告数は全国平均が0.21人でしたが、今年は既に0.50人と、昨年の数値の2倍以上となっています。

  大阪府済生会中津病院の安井良則医師によると、今年のRSウイルス感染症の患者報告数は、昨年同様に九州地方から患者が増え始め、西日本にひろがり、全国的な流行となる可能性があるといいます。現時点で患者報告数が多く、今後、流行地域が拡大していくおそれがあるため、引き続き発生動向を注視していきたいところです。

RSウイルス感染症の症状

 RSウイルス感染症は、病原体であるRSウイルスによっておこる呼吸器感染症です。生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の小児がRSウイルスの初感染を受けるとされています。潜伏期間は2~8日、一般的には4~6日で発症します。発熱、鼻汁などの上気道炎症状が数日間続き、初感染の小児の20~30%では、その後、下気道症状があらわれると言われています。感染が下気道、とくに細気管支に及んだ場合には特徴的な病型である細気管支炎となります。RSウイルス感染症は多くの場合、軽い症状ですみますが、症状が重くなると咳がひどくなり、呼吸が苦しくなるなどの症状が出ることがあります。RSウイルス感染症は乳幼児に注意してほしい感染症で、特に1歳未満の乳児が感染すると重症化しやすいです。RSウイルス感染症は、乳幼児の肺炎の原因の約50%、細気管支炎の50~90%を占めるとの報告もあります。また、低出生体重児や心肺系に基礎疾患や免疫不全が存在する場合は重症化のリスクは高く、臨床上、公衆衛生上のインパクトは大きいです。お子さんに発熱や呼吸器症状がみられる場合は、かかりつけ医に相談してください。

速やかにかかりつけ医に相談する症状

・息がゼイゼイと呼吸が苦しそうになる。
・咳で何回も夜中に起きる。
・熱が下がっても症状が改善されない。
・咳込んで嘔吐してしまう。
・生後1か月未満でも感染する可能性があり、無呼吸の原因になることがある。※悪化するときには、発熱はあまり関係ありません。

感染経路

 RSウイルスに感染している人の咳やくしゃみ、又は会話をした際に飛び散るしぶきを浴びて吸い込むことにより、飛沫感染します。感染している人との直接の濃厚接触や、ウイルスがついている手指や物(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップ等)を触ったり又はなめたりすることによる、間接的な接触感染でも感染します。

予防方法

 RSウイルス感染症には特効薬はなく、治療は症状を和らげる対症療法になります。RSウイルス感染症のワクチンはまだ実用化されていません。

 予防方法としては手洗い、うがい、咳エチケットなどが有効です。咳などの呼吸器症状がある場合は、飛沫感染の対策としてマスクを着用して子どもに接することが大切です。接触感染の対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すり等はこまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒し、流水・石鹸による手洗いか又はアルコール製剤による手指衛生の徹底が重要です。

取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏