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ヨーレン(びせいぶつ芸能社) ヨーレン(びせいぶつ芸能社)
 今回は学童期の小児に多くみられ、保育所や幼稚園、学校などの集団生活で注意が必要な、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)についてお伝えします。例年は5月以降、患者報告数が増える傾向です。

 「感染症・予防接種ナビ」に寄せられた、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)の経験談をご紹介します。

広島県 そらまめさん(6歳) 発症時期:2015年10月中旬 発症時の最高体温: 37.8℃

 その日は朝からだるそうにしていましたが、検温したところ37.6度。保育園で預かってもらえるぎりぎりの体温で心配でしたが、登園させました。担任の先生には体調が悪そうなことを伝え、何かあれば連絡くださいとお願いしました。

 11:30頃、保育園から電話があり、熱が37.8度に上がってかなり辛そうですとのことでした。急いで保育園にお迎えに行きました。お迎え時に先生から、溶連菌感染症が流行っているので検査してもらった方がいいよ、と教えてもらいました。

 その後、すぐ小児科へ。午前中の診察時間ぎりぎりでしたが、溶連菌感染症の検査をお願いしました。発症したばかりだから陽性にならない可能性もありましたが、結果は陽性。予想通り、溶連菌感染症であることが判明しました。(検査は綿棒のようなものでのどの組織を取り、5分くらいで結果が出ました。)

 抗生物質と風邪薬を処方されて帰宅。溶連菌を完全にやっつけるため、薬は必ずすべて飲みきってください、とのことでした。また、溶連菌感染症は腎炎の併発が怖いので、完治後も2回尿検査が必要だそうです。

 処方された薬を飲んだら、すぐに熱が下がり、体調も回復したようで元気に過ごしていました。

 発症したのは木曜日で、午後は小児科が休診の日でした。検査とお薬の処方を迅速にしていただいて症状が改善したことを考えると、急いで午前中のうちに受診して本当に良かったと思いました。受診のタイミングを逃していたら、木曜日は一晩中苦しい思いをしていたかもしれないので…

感染症の専門医は

 感染症専門医で、大阪府済生会中津病院に勤務する安井良則医師に、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)について、お話を伺いました。

 (安井医師) 子どもの場合は高熱が出ることがあります。こちらの経験談では抗菌薬を処方されたということですが、効果があって良かったです。処方された薬は必ず飲み切るようにしてください。

 近年は、薬に対しての耐性菌が出てきています。溶連菌と診断され、抗菌薬を2、3日飲んでも熱が下がらないなど症状が続く場合は、もう一度受診して医師に相談することをおすすめします。抗菌薬が効きにくい場合は、別の種類の抗菌薬への変更が必要になるかもしれません。

 溶連菌感染症で怖いのは、途中で抗菌薬を飲むのをやめてしまうと、合併症で糸球体腎炎になるおそれがあり、症状がなかなか良くなりません。糸球体腎炎になると、尿タンパクが出て腎機能が低下し、症状がぶり返して再度熱が出たりします。

 治療をしても抗菌薬の効果がなかった例や、効果のある抗菌薬を飲んでいても、すぐに飲むのをやめてしまったりすると、症状がぶり返すケースが多く注意が必要です。

症状

 感染すると、2~5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。

 発熱や咽頭痛など、新型コロナウイルス感染症の症状と似ており区別がつきにくいため、症状が疑われる場合は速やかにかかりつけ医を受診しましょう。

感染経路

 主な感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。

予防・治療方法

 予防のためのワクチンは、まだ実用化されていません。予防には、手洗いなどの手指衛生、マスクの着用など咳エチケットが有効です。治療においては、十分な抗菌薬の投与による治療をおこなわないと、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などを引き起こすことが知られています。合併症を予防するため、症状が治まってからも決められた期間、抗菌薬を飲み切ることが大切です。感染した場合、治療が開始されてから24~48時間が経過するまでは学校、幼稚園、保育所での集団生活は許可すべきではないとされています。

<おことわり>ご紹介する経験談は、あくまでも投稿者個人の症状や意見です。
◇感染症・予防接種ナビでは、みなさまからの感染症経験談を募集しています。
頂いた経験談は、研究目的として感染症の専門機関へ提出させていただく場合がございます。

引用:国立感染症研究所「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは」
厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏