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専門医も注目の治療薬! 専門医も注目の治療薬!
 11月22日、厚生労働省は新型コロナウイルスの治療薬として塩野義製薬の「ゾコーバ」の緊急承認を行いました。ゾコーバは1日1回、5日間投与の飲み薬で、ウイルスの増殖を抑えることができる飲み薬=経口抗ウイルス薬です。

ゾコーバの投与対象は?

 ゾコーバの投与対象は、18歳以上70歳未満、あるいは12歳以上18歳未満かつ体重40kg以上で、新型コロナの陽性反応があり、軽症から中等症Ⅰ(呼吸困難、肺炎の所見はあるが、酸素投与が必要なほどではない)、重症化リスク因子のない方などです。また、妊娠中や妊娠している可能性がある女性や、特定の薬を使用している人などに対しては投与しないことになっています。

ゾコーバの効果は?

 臨床試験の結果では、新型コロナウイルス感染症の5つの症状(倦怠感又は疲労感、ねつっぽさや発熱、鼻水又は鼻づまり、ノドの痛み、咳)について、回復するまでの時間が投与しなかった場合は約8日に対し、投与した場合は約7日となり、約1日短縮したとのことです。また、投与開始から4日目には、投与しなかった場合と比べてウイルス量が約30分の1に減少したとの報告もされています。

ゾコーバは、医療機関を受診の上で処方

 政府は100万人分を購入するという契約を結んでいますが、現状は安定的な供給が難しいことから、一般流通は行わず、当面の間は厚生労働省が所有した上で、医療機関や薬局に配分することになっています。

感染症の専門医は・・・

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、ゾコーバの治療効果に期待を寄せています。

 「この冬、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行が心配されていますが、厚生労働省は、ノドの痛みや発熱などが出たら、まず自分で新型コロナ抗原検査キットで検査をし、もし陽性の場合は地域の健康フォローアップセンターに登録をして自宅療養してほしいと呼びかけています。つまり、軽症の方などは、治療を十分に受けられないという可能性があるという現状があります。新型コロナウイルス感染症は、早期診断・早期治療が重要です。これまで症状の重い方に向けた抗ウイルス薬はありましたが、症状の軽い方に対する抗ウイルス薬が承認されたことで、軽症の方たちの早期回復に大きく役立つのではないかと期待をしています。ただし、準備しているのは100万人分とのことですので、薬を本当に必要としている方へ的確に届くような方法を考えなくてはならないと思います」

ゾコーバはあくまでも緊急承認医薬品

 ゾコーバの使用にあたっては注意書きに「本剤は、本邦で緊急承認されたものであり、承認時において有効性及び安全性に係る情報は限られており、引き続き情報を収集中である。そのため、本剤の使用に当たっては、あらかじめ患者又は代諾者に、その旨並びに有効性及び安全性に関する情報を十分に説明し、文書による同意を得てから投与すること」とあります。安井医師は「ゾコーバがどの程度有効であるのかは、これから臨床の現場で検証されていくと思います。しかし、インフルエンザに対する抗ウイルス薬のように、軽症の新型コロナ患者のウイルス量を減らせる内服薬がやっと使えるようになったということで、早期治療により重症化や後遺症の減少に効果があることを期待しています」と語っています。

引用
厚生労働省:新型コロナウイルス治療薬の緊急承認について(令和4年11月22日)
薬事・食品衛生審議会 令和4年度第5回薬事分科会、令和4年度第13回医薬品第二部会(合同開催) 資料

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏