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増加傾向 増加傾向
 厚生労働省によると、4月19日に発表された1日の新型コロナウイルスの新規陽性者数は、1万2094人。2日連続で1万人を超えました。1週間平均では8618人で、前週の7991人から600人以上増加。1月上旬をピークに減少を続けてきた新規陽性者ですが、4月に入りゆるやかな増加傾向にあります。

感染症の専門医は・・・

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「新型コロナ新規感染者数の1週間平均を精査すると、多くの都道府県・・・特に東京や大阪などの大都市圏で3月21日を境に増加傾向に転じています。ただし増加はゆるやかなので、これから更に増加していくのか、あるいは低い水準で推移するのか、注意して見ていく必要があると思います」と語っています。

累積の陽性者数から予測する今後の流行

 4月19日現在の全国の累積陽性者数は33,607,928人。総人口のうち約26%が新型コロナウイルスに感染したことになります。この数字について安井医師は、「この数字を見ると、まだまだ流行が拡大する余地はあると考えます。データ的にも春休み明けの影響がそろそろ現れる時期です。外国からの観光客も増え、人流が増えることが新型コロナの流行を加速させる可能性があります。これからゴールデンウイークもありますし、感染予防については引き続き行っていただきたいと思います」としています。

5類感染症になったら、どうすれば?

 5月8日から新型コロナウイルス感染症は、感染症法上の位置づけが5類感染症になります。

 5類になると、新型コロナ患者は法律に基づく外出自粛は求められません。外出を控えるかどうかは、個人の判断に委ねられます。その上で、

◎外出を控えることが推奨される期間
・特に発症後5日間が他人に感染させるリスクが高いことから、発症日を0日目として、5日間は外出を控えること。かつ、5日目に症状が続いていた場合は、熱が下がり、たんやのどの痛みなどの症状が軽快して24時間程度が経過するまでは、外出を控え様子を見ることが推奨されます。症状が重い場合は、医師に相談してください。

◎周りの方への配慮
・10日間が経過するまではウイルス排出の可能性があることから、不織布マスクを着用したり、高齢者等ハイリスク者と接触は控えるなど、周りの方へうつさないよう配慮しましょう。発症後10日を過ぎても咳やくしゃみなどの症状が続いている場合には、マスクの着用など咳エチケットを心がけましょう。

◎「濃厚接触者」の取り扱いは?
・5月8日以降は5類感染症に移行することから、一般に保健所から新型コロナ患者の「濃厚接触者」として特定されることはありません。また「濃厚接触者」として法律に基づく外出自粛は求められません。

◎家族が新型コロナウイルス感染症にかかったら?
・家族や同居している方が新型コロナウイルス感染症にかかったら、可能であれば部屋を分け、感染した家族の世話はできるだけ限られた方で行うなど注意をしてください。
・その上で、外出する場合は、新型コロナにかかった方の発症日を0日として、特に5日間は体調に注意してください。7日目までは発症する可能性があります。その間は手洗い等の手指衛生や換気などの基本的感染対策のほか、不織布マスクの着用や高齢者等ハイリスクの方との接触を控えるよう配慮しましょう。

国内の死亡者数の累積は7万4000人以上

 2023年4月19日現在までに、新型コロナに感染した方の死亡者数の累積は7万4286人。その数は日々増えています。安井医師は、「これだけ多くの方が亡くなった感染症は、近年には他にありません。法律上は5類感染症になりますが、感染の可能性に留意しながら日々を過ごしていただければと思います」としています。

引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(※報告日別新規陽性者数/2023年4月19日版)
内閣官房:感染症法上の位置づけ変更後の療養について(5月8日以降の取扱)

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏