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風邪気味のときは、乳幼児との接触を避ける! 風邪気味のときは、乳幼児との接触を避ける!
 国立感染症研究所のの感染症発生動向調査週報2023年22週(5/29-6/4)によると、RSウイルス感染症の患者の定点あたり報告数は2.12。前週と比較すると約9%増加しています。都道府県別では、山口6.02、和歌山県5.13となっています。

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、RSウイルス感染症の患者報告数は、過去の統計データや今年の流行状況などと照らし、「これからまだまだ増える」と予測しています。

 現在、九州・近畿での流行に加え、中国地方での感染報告も増えてきています。
今後、関東など首都圏にも流行が及ぶと、更に大きな流行となることが懸念されます。

 今回、「感染症・予防接種ナビ」に寄せられたのは、千葉県の方の経験談です。

千葉県・2歳

 1日目:夜中に39.5℃

 朝36.9℃で元気だった為、一時的な物と思い登園する。夕方にまた熱が出始め夜にかけて39.4℃まで上がる。水分・食欲・元気は○

 2日目:朝38.5℃、咳が出始める。

 かかりつけが休診なので、もうひとつの病院を受診。風邪が流行ってるからね~と、検査などは無しで薬を処方してもらう。鼻血が出る。水分・元気○

 3日目:36.7℃~37.2℃で咳が増えたが元気あり

 4日目:朝37.0℃で咳はあるが登園。11時頃に職場に電話がきて38.7℃なのでお迎えに行く。お迎え時は元気そうだったが、お昼ご飯は食べずに水分だけとって寝る。40.4℃まであがりぐったりしてひたすら寝てて、飲んだ物を吐く。坐薬を入れる。夕方にかかりつけを受診して、先生の判断でコロナ・インフル・ヒトメタ・RSの検査をしてRS陽性とわかる。帰ってからもずっと寝てて40℃ある為、坐薬を入れて、少しパンを食べて寝る。咳はするけど朝までぐっすり。

 5日目:寝てる間に鼻血が出たようで鼻周りが血でカピカピ、熱は36.6℃なので高熱の辛さは無さそう。青っパナと咳で機嫌は悪い。パンを食べるが咳き込んで吐いてしまったので食べるのを嫌がる。おもちゃで遊びはじめたのでピークは超えた感じがする。現在ここ。

感染症の専門医は…

 「こんな高熱が出ると、保護者の方もお子さんの体調が気がかりだと思います。RSウイルス感染症は、乳児にとって、インパクトの強い感染症であり、RSの流行時は、入院する赤ちゃんが増えることが知られています。特に、生後半年以内にかかると厄介な感染症でもあります。入院されたお子さんで酸素が不足しているときは、酸素テントに入れるなどの処置をする場合もあります。また、感染をきっかけに喘息を発症するケースもみられますので、注意が必要です。今回、お子さんが登園されていたとのことですが、保護者の方は流行に関する情報を知っておくことで、お子さんの感染症を防げる場合があります。幼稚園・保育園の関係者の方、特に先生方は施設内の流行状況を速やかに保護者の方に伝えるようお願いします」としています。

RSウイルス感染症とは?

 RSウイルス感染症は、RS(respiratory syncytial)ウイルスを病原体とする、乳幼児に多く認められる急性呼吸器感染症です。生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%の人が感染するとされています。初感染の場合、発熱や鼻汁、咳などの上気道症状が出現し、うち約20〜30%で気管支炎や肺炎などの下気道症状が出現するとされています。重篤な合併症としては無呼吸発作、急性脳症などがあり、生後1か月未満の子どもが感染した場合、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、突然死につながる無呼吸発作を起こすことがあります。主な感染経路は、患者の咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、ウイルスの付着した手指や物品等を介した接触感染です。

RSウイルス感染症の治療法、予防は?

 RSウイルス感染症には特効薬はありません。治療は基本的には症状を和らげる対症療法となります。予防については、RSウイルスに対するワクチンはありません。発症の中心は0歳児と1歳児なので、咳などの呼吸器症状がある大人やきょうだいなど年長の子どもは、可能な限り0歳児と1歳児との接触を避けることが、乳幼児の発症予防に繋がります。またどうしても接する必要がある場合は、飛沫感染対策としてマスクをして接することが大切です。接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤などで消毒し、流水・石鹸による手洗いまたはアルコール製剤による手指衛生を行ってください。

引用
国立感染症研究所 感染症発生動向調査週報2023年22週(5/22〜28)、
厚生労働省 RSウイルス感染症Q&A
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏