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新型コロナ流行に要警戒 新型コロナ流行に要警戒
 厚生労働省が7月21日に発表した令和5年第28週(7/10〜16)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」によると、全国の定点当たり報告数は11.04。初めて10を超えました。定点当たり報告数とは、1医療機関当たりの平均報告数のことです。新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数は、インフルエンザと同じ全国約5000の定点医療機関を受診した患者数が集計されていて、毎週金曜日に発表されています。21日発表された11.04という報告数は、7月10日から16日までの一週間に1つの医療機関に約11人の新型コロナウイルス感染症の患者が発生したということを示しています。

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 定点報告については、流行のトレンドが分かると言う一方で、一般の方からは「どの数値から注意すればいいのか、分からない」との声も聞かれます。この点について、感染症の専門医に伺いました。

定点当たり報告数をどう読む?

 大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、この数字について「新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数は、5類感染症になった5月8日以降に発表されるようになりました。ですので、まだ日が浅く、この報告数がどのくらいの流行を示しているのかということについては、決まった見解があるわけではありません。ただ、インフルエンザの場合は、10を超えると注意報レベル、30を超えると警報レベルとなっているので、それを参考にするならば、大きな流行に近づいていると考えていいかもしれません」としています。

 インフルエンザの注意報レベルとは「流行の発生前であれば今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性がある」、警報レベルとは「大きな流行の発生・継続が疑われることを示す」とされています。

 安井医師は、インフルエンザ定点報告をもとにした数値で、新型コロナウイルス感染症への当てはめは難しいため、飽くまで目安と前置きした上で、「新型コロナウイルス感染症の定点報告数が20を超えれば大きな流行となり、30を超えると医療ひっ迫が始まる目安となるのでは無いか」としています。

定点当たり報告数よりも患者数は多い?

 また安井医師は、新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数は、実際の流行よりも低い数字になっているのではないかと考えています。

 「新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数の定点医療機関は、インフルエンザと同じ医療機関となっていますが、その内訳は小児科3000、内科2000となっています。インフルエンザは子どもも多くかかる感染症なのでこの比率になっているのだと思いますが、新型コロナの場合は、患者は大人の方が多くなっています。また、病院へ行って検査を受けた方の集計なので、感染しても病院へ行かない、あるいは検査を受けない方もいると思います。実際の患者数は、報告数を上回っているのではないかと考えています」

コロナ患者は一定の法則で増加している?

 新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数は、初めて発表された19週(5/8~14)以来9週連続して増加しています。そこにはある程度の法則があり、毎週1.1~1.3倍程度に増加しています。これまで、急激に増加するということはありませんでしたが、じわじわと増えています。

 安井医師は、「最初はじわじわですが、この法則通りに増加していくと、報告数が大きくなるに従い、増加する割合が増えていきます。最新の28週は7月10〜16日の集計データですが、この法則を当てはめると29週(7/17~23)は14、現在の30週(7/24~30)は18、来週31週(7/31~8/6)は25程度まで増加します。これはあくまでも一つの試算なので、この通りに増加していくかどうかはわかりませんが、8月の3週目ぐらいまでは、このまま流行が続いていくのではないかと予測しています」と語っています。

流行期を前提に、感染対策を!

 7〜8月は、夏休みやお盆に帰省などで、大人数で集まったり、高齢の方と会うなど機会が増えてきます。予防を心がけ、体調を整えるようにしましょう。また、普段の生活では手洗いや手指消毒、換気を心がけましょう。そして、医療機関を受診するときや、高齢者施設などを訪問するとき、通勤ラッシュ時など混雑した電車やバスに乗車する時はマスクを着用しましょう。

 安井医師は、「当院にも、毎日のように新型コロナの感染者が入院してきます。高齢の方や基礎疾患がある方は感染すれば重症化リスクも高まります。新型コロナウイルス感染症は単なる風邪ではなく、注意すべき感染症です。引き続き感染対策を続け、感染しない、そして感染させないことを心がけていただければと思います」と語っています。

引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について令和5年第28週(7/10〜16)、全国のインフルエンザ患者数推計値について
国立感染症研究所:警報・注意報発生システムとは、

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏