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首都圏とその周辺は要注意 首都圏とその周辺は要注意
 厚生労働省が9月22日に発表した「インフルエンザの発生状況について」令和5年第37週(9/11-17) によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は7.03。前週から約1.57倍の増加となりました。

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各地で注意報レベルに!

 インフルエンザは定点当たり報告数が10を超えると「注意報レベル」となり、今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性が高いとされています。第37週で10を超えている都道府県は、埼玉、千葉、東京、徳島、愛媛、佐賀、沖縄。中でも沖縄は20を超え、警報レベルの30に近づいています。

各地で学級閉鎖、学年閉鎖が発生

 また、気になる学校や幼稚園・保育所での流行ですが、第37週だけで全国で休校は48、学年閉鎖は256、そして学級閉鎖は1321の報告がありました。インフルエンザは飛沫感染や接触感染で流行が広がります。感染している人のくしゃみや咳で出る飛沫を吸い込んだり、感染している人の唾(つば)や鼻水が手から手へ付着することなどからうつるので、人と人の距離が近い子どもたちの間で感染が広がる可能性が高いのです。

感染症に詳しい医師は・・・

 感染症に詳しい大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「インフルエンザは例年12月から翌年の3月までが流行シーズンとされてきましたが、今年は9月に入り患者数が急増しています。今年は夏場にも患者が発生していましたし、例年の流行の傾向をそのまま当てはめるのは難しくなっています。気になるのはこれから本格的な流行になっていくのかということですが、その予測は極めて難しく、患者の発生動向を注意深く見守る必要があると思います。ただし、東京をはじめ、埼玉、千葉、神奈川といった人口の多い首都圏で患者数が急増しています。インフルエンザはヒトからヒトにうつりますので、新幹線などで首都圏の人たちが地方に移動する、あるいは地方の人たちが首都圏に移動することによって、流行が拡大する可能性はあります」と語っています。

インフルエンザとは?

 インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴です。あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られます。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。

インフルエンザにかからないためには

 インフルエンザの予防には、次のことが有効です。

・外出後の手洗いなど
 流水・石けんによる手洗いは手指など体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去するための有効な方法です。また、アルコール製剤による手指衛生も効果があります。

・適度な湿度の保持
 空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。湿度の目安は50〜60%で、乾燥しやすい室内では加湿器の使用も効果的です。

・十分な休養とバランスのとれた食事
 体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を心がけましょう。

・人混みや繁華街への外出を控える
 多くの人と接する機会のある人混みや繁華街では、感染の機会も増加します。体調に不安があるときには、不要な外出を控えることも重要です。また、人混みではマスクの着用も防御策の一つと考えられます。

10月からはワクチンの接種も

 そして、インフルエンザワクチンの接種も予防に有効です。インフルエンザワクチンには、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効とされています。国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34〜55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています。安井医師は、「インフルエンザワクチンは、重症化リスクの高い65歳以上の方や、60歳以上で基礎疾患がある方は予防接種法に基づく定期接種となっていますので、なるべく接種をしていただきたいと思います。インフルエンザワクチンは10月から接種が始まりますので、接種時期は早めにかかりつけ医に相談していただければと思います」としています。

引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和5年第37週(9/11-17)、インフルエンザQ&A

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 安井良則氏