流行地域は注意 流行地域は注意
国立感染症研究所の第47週(11/20-26)速報データによると、咽頭結膜熱の全国の定点あたりの報告数は3.54。過去最多を更新した前週の3.3からは、微増でしたが、それでも増加が続いています。現在の方法で集計を始めた1999年以来最多であり、全国でも患者報告数が3を超える警報レベルが継続しています。都道府県別では、北海道が7.99と、前週の6.88から更に増加し、最多となっています。また先週、減少に転じたかに見えた福岡県は、7.24と、前週の6.58から増加しています。その他、九州、北陸、近畿地方でも、警報レベルの3.0を超える府県が多く、引き続き注意が必要と言えます。

【2023年】12月に注意してほしい感染症!感染症の流行に適した季節に 専門医「インフルエンザ引き続き要注意 溶連菌感染症過去最高の恐れも…」 要注意は新型コロナウイルス感染症
今回の経験談は、保育園に通う、兵庫県・2歳の方の経過について、保護者の方がお送りくださいました。

2歳 兵庫県(保護者の方からの投稿)

1番下の子の体験談です。
2歳10ヶ月。1日目朝は特に変わらず元気に保育園登園。昼過ぎ園から電話→38.5℃あります。急いでお迎え行って帰宅しましたがその時で同じ38.5℃。1週間前まで園でインフルが猛威を奮っていたのでまさか?と思いつつ、その日はお風呂だけササっと終わらせて、晩御飯も「要らない!」と怒るので早々に寝かせました。発熱からなのが涙目。
2日目 体温39.5℃。朝イチ小児科行ってコロナとインフルの検査をしてもらうも陰性。薬も貰わず。その日は金曜日だったので、月曜日なってもまだ熱が下がらなければ再受診はして、と言われる。1日通して水分は取れるが、ご飯は食欲がないみたいで、小さなおにぎりを1個食べるのがやっとと言う感じでした。1日目2日目が主に吐き気もあったみたいで、常に嘔吐用の桶を自分の横に置いていました(自分で)1日通して39℃超え。
3日目 この日も朝から39℃。周りからインフルの検査早かったのでは?と言われる。朝イチ違う病院行って検査してもらうも、やはりコロナインフル陰性。この頃から目からうっすら目ヤニが。1日通して39℃超え。
4日目 1日ぐったり。ずっと寝ている。でも熱が高過ぎてしんどいのか寝てもすぐ起きていました。この日の夜初めて40℃超え。ここまで高熱続くのが今までなく、1度解熱剤使うも1度しか下がらず、5時間経つと急激に体温上がるからかガタガタ震え出すから、可哀想で、その後は使うのを躊躇いました。
5日目月曜日 最初の病院に再受診。先生に高熱が続いている(主に昼間38.5℃〜夜39.5℃)あと目ヤニが酷いです、と伝えると「アデノっぽいな〜」と言われる。喉を見た瞬間「アデノやわ!喉が完全に!」と言われましたが、念の為に検査→アデノウイルス陽性でした。先生に「アデノはね、あと2日は熱続くんちゃうんかな〜」と言われる。既に発熱から5日経っているのに?と絶望。この日から咳と鼻水が出だしました。
6日目 この日は朝イチ計測で37.3℃!ついに解熱!?と思いましたが、夕方辺りからまた熱があがり出して39℃。食欲は無く、この頃は当初たべていたゼリーも拒否し出すように。ひたすらお茶と乳酸菌飲料を飲んでいました。鼻水が凄くて10分に1回は鼻をかんでいる状態です。
7日目 朝イチ計測36.8℃。1日通しても36.8〜37.5でほぼ熱は上がらず。やっと解熱したー!と安心したのを覚えています。解熱はしましたが鼻水と咳はまだ酷く、それが原因なのかとにかく機嫌が悪かったです。
その後熱は上がらず、徐々に咳と鼻水は治まってきました。
・39.5〜38.5熱
・目ヤニ
・喉が痛いからか食欲無し
・機嫌悪い
・滝のような鼻水
・咳
・唇が常に乾いていて皮剥け
過去コロナもインフルも突発もRSもヒトメタも手足口病もヘルパンギーナも胃腸炎にもなった事ありますが(上の子も含め)アデノウイルスは初めてでした。
とにかく機嫌悪くて何するにも5秒で怒る、離れると怒る、で看病している私のストレスがヤバかったです。途中旦那に替わってもらいながら何とか乗り切りました。高熱が続くしんどさは本人にしか分からないし、とても可哀想でした。出来れば二度とかかりたくないです。これまでで、1番やっかいな病気だな、と思いました。

感染症の専門医は…

感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「咽頭結膜熱が、過去最多を更新し続けています。ここ3年間、大きな流行がみられなかったのが要因と考えられます。咽頭結膜熱は、アデノウイルスに感染することによって起こる感染症で、ウイルスが検出され、発熱・ノドの痛み・結膜炎の3つの症状が揃って、初めて咽頭結膜熱という病名がつきます。しかしその3つが揃わない場合もあるので、最近は『アデノウイルス感染症』と呼ぶ場合もあります。検査キットがあるため、小児科などで判定が可能です。今回の経験談ですが、直接、診察した訳ではないので、不明な部分もありますが、6日間も、発熱が続いたとあるので、お子さんも、保護者の方もしんどかったろうなと思います。アデノウイルス感染症については、抗ウイルス薬が無く、基本的に自力で治すしかありません。解熱剤が処方されたようですが、使っても使わなくても、症状の経過は、変わりません。典型的な症例は、発熱が4日ほど続くとされています。お子さんの高熱時に服用させても問題ないですが、小児科医の方は、『解熱剤は、最小限に』と言われる場合が多いです。発熱が、いったん治まれば、お子さんも楽になって、食事ができる場合もあります。お子さんの状態をみながら、服用させるといいでしょう。話は変わりますが、『アデノウイルス感染症は、治療薬が無いので、医療機関で、診察を受けても意味がないのでは?』との話を耳にしました。現在、インフルエンザや溶連菌感染症なども流行しており、医師の診断を受けず、自分で勝手に判断すると、実は、違う病気だと言うケースもあります。体調が悪い場合は早めに医療機関を受診して、どのような病気にかかっていることを知ることで、適切な対応をとることができます。これはご自身のためでもありますが、無理をしてほかの人にうつさないためと言う意味もあります。特に、お子さんの場合、体調が悪そうなら、すぐに医療機関を受診させることが大切です」としています。

咽頭結膜熱とは?

咽頭結膜熱とは、アデノウイルスが原因の感染症です。症状としては、38~39℃の発熱、ノドの痛み、結膜炎があります。5〜7日の潜伏期間の後に発症。まず発熱があり、頭痛、食欲不振、全体倦怠感とともに、咽頭炎による咽頭痛、結膜炎に伴う結膜充血、眼痛などがあり、3〜5日程度持続します。特に治療法はなく、対症療法が中心となります。子どもに多い感染症で、罹患年齢は5歳以下が約6割を占めているというデータもあります。生後14日以内の新生児に感染した場合は、全身性感染を起こしやすく、重症化する場合があることが報告されています。

感染経路は?流行時期は?

咽頭結膜熱は、通常飛沫感染、あるいは手指を介した接触感染でうつります。プールの水や、タオルを共用することで感染が広がることで「プール熱」と呼ばれることもあります。なお、プール熱という名前の方が一般的に知られるようになり、プールに入ったら感染してしまうなどというイメージを持っている方もいらっしゃいますが、残留塩素濃度の基準を満たしているプールの水を介して感染することはほとんどありません。かつては例年、夏に流行のピークがあり、秋から冬にかけても患者が増加傾向になりました。しかし、今年の流行の傾向は過去には全くなかったことです。

引用
国立感染症研究所:「IDWR速報データ2023年第47週」「咽頭結膜熱とは」「アデノウイルスの種類と病気」
厚生労働省:咽頭結膜熱について

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏