子どもを中心に流行は継続中 子どもを中心に流行は継続中
厚生労働省が12月8日に発表した「インフルエンザの発生状況について」令和5年第48週(11/27-12/3) によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は26.72。前週(47週)から1.58減少しました。しかし、この1週間で学級閉鎖(学年閉鎖、休校を含む)が行われた学校・幼稚園は全国で4690ありました。インフルエンザの流行はピークを迎えたのでしょうか?

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感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「今年は例年の流行のパターンと大きく変わっているので予測は難しいです。週足単位での患者数の増減もありますが、増加傾向には変わりがないと考えています。学校サーベイランスでの情報でも、減少していく兆しは、残念ながら、まだ見えません。これから本格的な冬の気候となるに連れ、流行はこれからも続いていくでしょう。ただし、もうすぐ子どもたちが冬休みを迎えますので、そこで流行は一時落ち着くのではないかと思います」としています。

インフルエンザとは?

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる感染症です。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴です。あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られます。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。

インフルエンザの予防法は?

インフルエンザの予防については、次のことが有効とされています。

・外出後の手洗いなど
流水・石鹸による手洗いは手指など体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法であり、インフルエンザに限らず接触や飛沫感染などを感染経路とする感染症の対策の基本です。インフルエンザウイルスにはアルコール製剤による手指衛生も効果があります。

・適度な湿度の保持
空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50〜60%)を保つことも効果的です。

・十分な休養とバランスの取れた栄養摂取
体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日頃から心がけましょう。

・人混みや繁華街への外出を控える
インフルエンザが流行してきたら、特に高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦、体調の悪い方、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ず外出して人混みに入る可能性がある場合には、ある程度、飛沫感染などを防ぐことができる不織布製マスクを着用することは一つの防御策と考えられます。

・ワクチンの接種
インフルエンザワクチンは、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効と報告されています。
ワクチンは13歳以上の方は原則1回、13歳未満の方は2回接種とされています。インフルエンザワクチンの最も大きな効果は「重症化」を予防することで、国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34〜55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています。
65歳以上の方、60〜64歳で心臓・じん臓若しくは呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活を極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方は定期の予防接種の対象となっています。

年明けには、流行がさらに増大?

安井医師は、「インフルエンザの患者数は子どもたちの冬休みで一旦減少しますが、年が明けて学校などが再開すると、再び流行が増大することも考えられます。この3年間にインフルエンザの大きな流行がなかったことから、多くの人が感染しやすくなっています。これから寒くなってくると部屋の換気もおろそかになってきます。感染対策を万全にして、年末年始を迎えていただきたいと思います」と語っています。

引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和5年第48週(11/27-12/3)、インフルエンザQ&A

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏