適切な換気を 適切な換気を
厚生労働省が2024年1月19日に発表した2024年第2週(1/8-1/14)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」によると、全国の定点当たり報告数は8.96。前週(1/1-1/7)の6.96と比べて、およそ1.29倍増えています。新型コロナウイルス感染症の患者報告数の増加は、8週連続となっています。都道府県別では、岐阜県14.29、愛知県14.17、長野県14.05など東海地方とその近辺で高い値を示しています。また、同日に発表された「インフルエンザの発生状況について」によると、2024年第2週(1/1-1/7)のインフルエンザの定点報告数は、12.99。前週(1/1-1/7)の12.66から横ばいとなっています。現状について、感染症に詳しい医師に聞きました。

【2024年】1月に注意してほしい感染症!インフルエンザ年明けも引き続き注意 コロナは増加予測新たな流行株への置き換わりに注視必要 要注意はマイコプラズマ肺炎

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい、大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長の安井良則医師は「他の感染症と違い、新型コロナだけが、堅調に増加しています。新たな変異株へ、ちょうど置き換わってきている時期だと推測されます。流行は、これから、本格化することが予測され、モデルナ社の調査では、患者数は、2023年夏の半分近くまで来ています。現在、注意が必要なのは、東海地方とその周辺です。一方で、いつ、どのくらいまで流行が広がるかは、予測できません。変異株が、どこまで免疫を回避するか分からないことも理由の一つです。現在、当院で、新型コロナと診断される方は、一日辺り4-5人ほどです。入院が必要なケースは、そのうち1人くらいの割合です。入院される方は、80-90代が中心ですが、60-70代もいらっしゃいます。感染対策として、室内の換気を推奨したいのですが、季節的な問題もあります。各自で、気をつけるしかないです。しかし、換気が困難なこの季節だからこそ、この時期に流行するとも言えるでしょう」としています。

インフルエンザ症状と対策

インフルエンザは、1~4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続きます。通常は1週間前後の経過で軽快するが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染が主な感染経路です。他に接触感染もあるといわれています。飛沫感染対策として、咳エチケット。接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト-ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。

新型コロナウイルス感染症とは

新型コロナウイルス感染症は、発熱・鼻水・のどの痛み・咳などといった、風邪のような症状から始まります。また、頭痛や強い倦怠感などが良く見られる症状です。下痢や味覚・嗅覚障害を伴うことも少なくはありません。感染者の口や鼻から、咳、くしゃみ、会話等のときに排出される、ウイルスを含む飛沫又はエアロゾルと呼ばれる更に小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接的に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内の近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不じゅうぶんであったり、混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。最も重要な対策は、咳エチケットと手洗い・アルコール消毒など手指衛生を徹底することです。手洗いが大切な理由は、ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、自分の手にもウイルスが付着している可能性があるからです。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。また、感染拡大を防ぐため、人と人との距離を保つことが重要です。

引用
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」「インフルエンザの発生状況について」令和6年第2週、インフルエンザQ&A、新型コロナウイルスに関するQ&A
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏