適切な治療をしないと、肺炎になることも! 適切な治療をしないと、肺炎になることも!
去年11月、中国北京市、遼寧省で小児を中心に肺炎像を伴う呼吸器感染症の増加がメディアで報じられました。報道では病原体診断についての言及がないものの、中国全土でマイコプラズマ肺炎、インフルエンザなどの呼吸器感染症が増加していると以前から報道されています。WHOは中国当局との会談を実施し、去年5月以降マイコプラズマ肺炎、10月以降インフルエンザ、RSウイルス、アデノウイルスの各感染症が小児で流行し、患者が増加しているが、現時点では新規の感染症や異常な臨床症状の報告はなく、既知の感染症によるものとして矛盾はしないと報告しています。インフルエンザ、アデノウイルス感染症(咽頭結膜熱など)はこの冬、日本でも大きな流行となりました。これから流行が心配されるのが、マイコプラズマ肺炎です。

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マイコプラズマ肺炎とは?

マイコプラズマ肺炎とは、「肺炎マイコプラズマ」という細菌に感染することで起こる呼吸器感染症です。小児や若い人の肺炎としては比較的多いものの一つで、例年、患者として報告されるもののうち約80%は14歳以下ですが、成人の報告も見られます。マイコプラズマ肺炎は1年を通じて見られ、冬にやや増加する傾向があります。

感染経路は?

患者の咳の飛沫(しぶき)を吸い込んだり、患者と身近で接したりすることにより感染すると言われています。家庭のほか、学校などの施設内でも感染の伝播が見られます。感染してから発症するまでの潜伏期間は長く、2〜3週間くらいとされています。

マイコプラズマ肺炎の症状は?

発熱や全身倦怠感(だるさ)、頭痛、痰を伴わない咳などの症状がみられます。咳は少し遅れて始まることもあります。咳は熱が下がったあとも長期にわたって(3〜4週間)続くのが特徴です。多くの人はマイコプラズマに感染しても気管支炎で済み、軽い症状が続きますが、一部の人は肺炎になり重症化することもあります。一般的に、小児のほうが軽くすむと言われています。

(経験談)マイコプラズマ肺炎 39歳 埼玉県

約3週間前家族みんなコロナに感染し、咳が治まってきてきた頃のことでした。
1日目 朝から倦怠感あり、熱が出る前ぶれみたいな状態で明らかに調子が悪い。この前日から中学生の長男が発熱していたので、このときインフルが流行っていたので絶対そうだろうと思っていたがインフルまさかの陰性。私はまだ熱もなかったので、普通の風邪を長男からもらったのだろうと思っていました。夕方くらいから、倦怠感強くなり、頭痛もあって熱を測ったら38.3℃。最高で38.8℃。この時、咳はあったけど、そんなに気にならないくらいでした。
2日目 咳が酷くなり、コロナのときとは明らかに違う痰絡みの咳。痰の色は黄色から少し緑っぽい感じ。熱も常に39℃を越えている状態。解熱剤を飲めば一時的に下がるけど、保って3時間。そんなことの繰り返し。この頃から肺が痛くて、息苦しさもあり熱と咳で寝られなくなっていました。

3日目 咳はどんどん強くなり、とにかく息苦しい。トイレに行くだけでも辛かったです。祝日だったこともあり病院で詳しい検査は出来なかったけど、もしインフルだったら2日以上経っていると薬を飲んでも意味がないと言われたで、とりあえずインフル検査をやって結果はやはり陰性。このころから、肺炎かなと頭をよぎる‥。この日も夜は全く寝られず、最高39.7℃

4日目 休み明け、症状はピークに。もう一度病院へ。Spo2(経皮的動脈血酸素飽和度)は97%だったが、脈が1分間に138回。常に運動した後の状態。すぐ採血とレントゲン。肺には影があり、肺炎と診断。白血球は正常値、CRPは7.0高値。マイコかもしれない。長男も咳と熱が続いていたので、調べてもらったらマイコ陽性でした。熱は2日で微熱になりその後平熱に戻りました。咳は1ヶ月続きました

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、
「新型コロナの流行以降、日本ではマイコプラズマ肺炎の患者数は激減していました。現在も患者数は少ない状況で推移していますが、少しずつ増えています。通常マイコプラズマ肺炎は抗菌薬で治療しますが、流行中の中国では、通常使用されている抗菌薬の効かない『耐性菌』が増えていると報告されています。ただし、抗菌薬にはいくつか種類があるので、耐性菌に対して効果がある抗菌薬もあります。適切な治療をしないと、経験談のように肺炎に至るケースもありますので、気になる症状がある時は、早めに医療機関を受診することをおすすめします」と語っています。

引用
国立感染症研究所:「中国で小児を中心に増加が報じられている呼吸器感染症について(2023年11月24日)、「マイコプラズマ肺炎とは」
厚生労働省:「マイコプラズマ肺炎に関するQ&A」

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏