「感染症・予防接種ナビ」は、広島テレビ放送が運営しており、厚生労働科学研究「ワクチンで予防可能な疾病のサーベイランスとワクチン効果の評価に関する研究」(研究代表者・鈴木基)の 「ワクチンの有効性、安全性、啓発に関する研究」(研究分担者・岡部信彦)の研究活動の一部に協力しています。
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新型コロナウイルス感染症

2019年末頃より「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」が中国の武漢市を中心に出現し、世界中で患者数が増加しています。

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感染症ニュース

【感染症ニュース】シーズン入りから3週連続増 インフルエンザ全国定点7.09 専門医「今一番、要注意な感染症」

 厚生労働省が発表した第38週(9/18-24)の「インフルエンザの発生状況について」によると、全国の定点あたりの報告数は7.09。前週から微増ですが、シーズン入りした36週(9/4-10)から3週連続で増加しています東京都(12.19)・千葉県(15.14)では、注意報の基準値10を超えており、首都圏では、注意が必要です。インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられています。本来、インフルエンザの流行は、例年11月下旬から12月上旬にかけて始まり、1月下旬から2月上旬にピークを迎え、3月頃まで続きます。しかし、今の時期に流行することは、異例です。

【2023年】10月に注意してほしい感染症!専門医が予測「インフルエンザ流行加速 コロナは減少するか見極め必要 季節外れの流行のアデノウイルス感染症も…」 要注意は梅毒

感染症の専門医は…

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「インフルエンザの流行に適した季節になるのは、まだ先です。しかし、注意報レベルを超えた地域が多くあるように、地域によっては、まとまった流行となっているエリアもあるようです。上げ幅が縮小した感もありますが、関東では増加しています。首都圏での増加は、周辺地域にも、広がっていく傾向がありますので、流行の加速の可能性があることに注意が必要です。今後の増加速度の予測は、なかなか難しいですが、今、一番注意しなければならない感染症ということは、間違いないでしょう」としています。

インフルエンザとは?

 インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴です。あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られます。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。インフルエンザの予防には、次のことが有効です。

・外出後の手洗いなど
 流水・石けんによる手洗いは手指など体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去するための有効な方法です。また、アルコール製剤による手指衛生も効果があります。

・適度な湿度の保持
 空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。湿度の目安は50〜60%で、乾燥しやすい室内では加湿器の使用も効果的です。

・十分な休養とバランスのとれた食事
 体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を心がけましょう。

・人混みや繁華街への外出を控える
 多くの人と接する機会のある人混みや繁華街では、感染の機会も増加します。体調に不安があるときには、不要な外出を控えることも重要です。また、人混みではマスクの着用も防御策の一つと考えられます。

10月からはワクチンの接種も

 そして、インフルエンザワクチンの接種も予防に有効です。インフルエンザワクチンには、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効とされています。国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34〜55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています。安井医師は、「インフルエンザワクチンは、重症化リスクの高い65歳以上の方や、60歳以上で基礎疾患がある方は予防接種法に基づく定期接種となっていますので、なるべく接種をしていただきたいと思います。インフルエンザワクチンは10月から接種が始まりますので、接種時期は早めにかかりつけ医に相談していただければと思います」としています。

引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和5年第38週、インフルエンザQ&A

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 安井良則氏
感染症ニュース一覧
予防接種における間違いを防ぐために

注意してほしい感染症

2023年10月期

インフルエンザ
新型コロナウイルス感染症
咽頭結膜熱
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ
咽頭結膜熱
溶連菌感染症
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
百日咳
ヘルパンギーナ
流行性耳下腺炎
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
マイコプラズマ肺炎
情報元:IDWR2023年第38週(2023年9月18日~2023年9月24日)

流行の様子

インフルエンザ(季節性) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 咽頭結膜熱 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
 

インフルエンザ(季節性)

インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられています。日本でのインフルエンザの流行は、例年11月下旬から12月上旬にかけて始まり、1月下旬から2月上旬にピークを迎え3月頃まで続きます。しかし、今季はシーズン入り前から、一定程度の患者報告数があり、例年の同時期に比べると高い水準でのシーズン入りとなりました。シーズン入りしてからは、首都圏などで、急激な増加をみせています。地域差や増加の幅など流行の動向がつかみにくいため、注意が必要です。主な感染経路は、くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染で、他に接触感染もあるといわれています。飛沫感染対策として、咳エチケットや接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト-ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。学校が夏休み期間に入るため、減少していくと考えられますが、流行地域は注意が必要です。
情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

9月末時点で、全国的には、いったん、ピークアウトの兆候もみられますが、今後、感染者数がどのように推移するか、引き続き注意が必要です。2023年5月から、5類に移行しましたが、気がかりなのは、「EG.5」系統が増加傾向にあることです。勤務先の病院に入院する患者さんの中には、肺炎を発症し、人工呼吸が必要なケースもあります。症状が悪化され搬送されてくるのは、ワクチン未接種の方が多い印象です。合併症の恐れがある方は、特に注意が必要です。ワクチンを接種した後も、基本的な感染対策を続けるなど決して油断しないでください。体調不良の場合や医療機関・高齢者施設を訪問の際はマスクの着用は必須です。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

咽頭結膜熱

咽頭結膜熱は、例年6月から7月にかけて流行がピークを迎える感染症です。しかし、9月末時点で、大阪・福岡の患者報告数が多くみられます。今後、首都圏での増加も予測されます。注意が必要です。症状は風邪とよく似ていますが、発熱、咽頭痛、結膜炎です。発熱は5日間ほど続くことがあります。眼の症状は一般的に片方から始まり、その後、他方に症状があらわれます。高熱が続くことから、新型コロナウイルス感染症とも間違えやすい症状です。吐き気、強い頭痛、せきが激しい時は早めに医療機関に相談してください。感染経路は、主に接触感染と飛沫感染です。原因となるアデノウイルスの感染力は強力で、直接接触だけではなくタオル、ドアの取っ手、階段やエスカレーターの手すり、エレベーターのボタン等の不特定多数の人が触る物品を介した間接的な接触でも、感染が広がります。特異的な治療方法はなく、対症療法が中心となります。眼の症状が強い時には、眼科的治療が必要となることもあります。予防方法は、流水・石鹸による手洗いとマスクの着用です。物品を介した間接的な接触でも感染するため、しっかりと手を洗うことを心がけてください。学校が夏休み期間に入り流行は落ち着くと考えられますが、注意を要します。
情報元:IDWR2023年第38週(2023年9月18日~2023年9月24日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) は、学校・幼稚園・保育園などでの流行が多くみられます。新学期が始まり、一定程度、増えることは予測していましたが、余りにも急激に増加しているので、注意が必要です。増え方のスタート地点が高かったため、今後、大きな流行となる可能性もあります。特に、小学校低学年のお子さんや幼稚園・保育園のお子さんは、注意が必要でしょう。溶連菌感染症は、例年、冬季および春から初夏にかけての2つの報告数のピークが認められています。保育所や幼稚園の年長を含め、学童を中心に広がるので、学校などでの集団生活や、きょうだい間での接触を通じて感染が広がるので、注意しましょう。感染すると、2~5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。発熱や咽頭痛など、新型コロナの症状と似ており区別がつきにくいため、症状が疑われる場合は速やかにかかりつけ医を受診しましょう。主な感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。感染の予防には手洗い、咳エチケットなどが有効です。
情報元:IDWR2023年第38週(2023年9月18日~2023年9月24日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
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予防接種トピックス

感染症発生動向調査による小児科定点(約3,000か所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000か所)からの報告数に基づいたデータ解析によります。
感染症発生動向調査とは(厚生労働省ホームページより)
すこやか201 知ってアクション!感染症の予防

予防接種スケジュール

※国立感染症研究所サイト

インフルエンザ情報

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
厚生労働省「インフルエンザの発生状況について第35週 (8/28-9/3)」によると、全国の定点あたりの報 告数は2.56。前週の1.40から約83%増でした。 東日本などで増加傾向で、宮城県では3.98と、前週比 で3倍以・・・
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厚生労働省「インフルエンザの発生状況について第35週 (8/28-9/3)」によると、全国の定点あたりの報 告数は2.56。前週の1.40から約83%増でした。 東日本などで増加傾向で、宮城県では3.98と、前週比 で3倍以上となりました。東京都でも2.96と前週比で 2倍以上です。本来、インフルエンザの流行は例年11月 下旬から12月上旬にかけて始まり,1月下旬から2月上 旬にピークを迎え,3月頃まで続きます。しかし、現在の ように、前シーズンから継続的に患者報告が続くことは、 珍しいとのことです。感染症の専門医で大阪府済生会中津 病院の安井良則医師は、「インフルエンザの患者報告が、 第34週(8/21-8/27)も増加しましたが、気が かりなのが、学校が本格的に再開する第36週(9/4- 9/10)以降のデータです。全国的にも、インフルエン ザによるとみられる学級閉鎖の情報も入ってきています。 現在は例年の11月中旬から下旬の流行と同水準であり、 高いレベルからの流行スタートラインに立っていると認識 して、インフルエンザの流行に備える必要があります。」
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