「感染症・予防接種ナビ」は、広島テレビ放送が運営しており、厚生労働科学研究「ワクチンで予防可能な疾病のサーベイランスとワクチン効果の評価に関する研究」(研究代表者・鈴木基)の 「ワクチンの有効性、安全性、啓発に関する研究」(研究分担者・岡部信彦)の研究活動の一部に協力しています。
子育てに欠かせない「正しく信頼できる」感染症情報の発信と予防接種の啓発を、公的機関や専門医の監修と取材協力のもと、分かりやすく伝えるサイトです。
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新型コロナウイルス感染症

2019年末頃より「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」が中国の武漢市を中心に出現し、世界中で患者数が増加しています。

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感染症ニュース

【感染症ニュース】61歳耳と喉の帯状疱疹発見遅れ即入院 2年半経った今も後遺症… 専門医「珍しい症例 今後の参考にしたい」(経験談再掲)

帯状疱疹は、水痘-帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症します。水痘とは、「水ぼうそう」のことで、感染したことがある人は、治癒した後も、体内の神経節にウイルスが潜伏した状態が続きます。潜伏したウイルスは、加齢やストレス、疲労等による免疫力の低下で再活発化し、帯状疱疹を引き起こします。また、帯状疱疹の合併症の一つとして帯状疱疹後神経痛があり、発症頻度は年齢や症例定義、報告によって異なりますが、帯状疱疹患者の10-50%で生じるとされています。国内外の疫学調査において、壮年層における帯状疱疹では発症から3ヶ月以上持続する疼痛が10-20%に認められます。
帯状疱疹は、特に50歳を境に発症率が急上昇します。今回、『感染症・予防接種ナビ』に寄せられたのは、耳内と喉の帯状疱疹の発見が遅れ入院。その後も2年半に渡り後遺症に悩まされていると言う京都府在住の61歳の方からの経験談です。

【2024年】4月に注意してほしい感染症!RSウイルス感染症徐々に増加 麻しん(はしか)流行に注意 医師「春休み明けもインフルエンザ下がり切らない懸念」

61歳 京都府

日曜日あたりから喉の痛み、そのたぐいの風邪が多いのでてっきりそうだと思い早めの月曜日に内科を受診。「喉が少し赤いかな…」くらいの診断にて風邪薬を貰うも次の日には食べられないほどの喉の痛みに。耳の調子もおかしく火曜日の夜耳鼻科を受診。扁桃炎と風邪からの中耳炎…との診断にて、その日から吸入に通うも症状は悪化。
通院四日目あたりに耳から嫌な液体が…。医師が慌ててファイバーで見て「あっ…これは…」その時にはもう声もまともに出ず、何も食べることが出来ませんでした。慌てて総合病院に電話する医師。即向かうように言われ、行った病院で 帯状疱疹だとわかりました。総合病院では、「こんなになるまで気づかれなかったの?!」と驚かれました。しかも、たぐいまれな喉の中にできる帯状疱疹。病状はあっという間に悪化の猛スピード。即入院の次の日からは嚥下機能がマヒ、10日間の鼻から胃へのチューブで食事。体は熱もないのに極度の疲労倦怠感でトイレにも車いす。検査にもストレッチャー。3週間の入院でやっと嚥下機能はギリギリ戻りましたが声はいわゆる「嗄声」かすれて人に聞えないくらいが半年間続きました。食事もしばらくは柔らかいもの、何とかすべての見込めるようになった今も、食べ始めから5分間近くは咳き込みが激しく、まだコロナやインフルがはびこっている世の中、知らない人の居る場所では気が引けます。声は半年で何とか8割がた戻りはしましたが、帯状疱疹がこの2年半過ぎた今も後遺症で残り続けるなんて思いもしませんでした。今も仕事中、食事中、就寝中…。場所タイミングを問わず咳き込みがあります。あまり症例が少ない、外部には出ない喉の中 そんな帯状疱疹を知っておいていただきたいと投稿しました。帯状疱疹は、耳鼻科医師の中でも知識はあるけれど、本当に出会った事はないという先生も多いようです。風邪かもと油断をせず、喉の痛みが急速に激しくなるような場合は疑ってみてください。一生こんな後遺症と付き合って行かなくてはならないかもしれません。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「直接診断した訳ではないのですが、経験談をお寄せ頂いた方は、本当に大変だったのだろうと思います。我々、医療に携わる者として、今後の診療の参考にしたいケースです。勇気を出して投稿くださり、ありがとうございます。非常に珍しい症例であることに間違いないと思います。発症当時は、外部に発疹などが見当たらないことから、はっきりと診断できなかったのだと考えられます。帯状疱疹と分かれば、治療も始められるのですが…。お寄せ頂いたケースは、即入院治療が必要なケースです。首からの上は、神経が集まっているため、なめてかかると非常に危険です。入院時も、嚥下できないなどで、ご苦労されたと思います。また、後遺症も、少しづつよくなったようですが、完全に回復するかどうかは、個人差があります。一日も早い回復を願っております。今回の経験談、非常に参考になりました。今後の参考にしたいと思います」としています。

帯状疱疹の特徴

帯状疱疹は、かつて水ぼうそうにかかったことがある人なら、誰でも発症の可能性があります。加齢、疲労、ストレス、悪性腫瘍、免疫抑制状態などをきっかけに、神経節に潜んでいた水痘帯状疱疹ウイルスが再び活性化することによって発症します。水ぼうそうにかかったことがある人なら約10〜30%、85歳以上の方は約50%が帯状疱疹を経験しているという報告もあります。症状としては体の片側に、時に痛みを伴う水疱状の発疹が発生します。通常発症する部位に、発疹が出現する2〜3日前からかゆみや痛みが発生します。その後、3〜5日間にわたって発疹が現れ、かさぶたになるまでには10〜15日ほどかかります。また、発疹が治っても帯状疱疹後神経痛といって、発症した部位の痛みが長く続くことがあります。

帯状疱疹が増えている要因

また近年、帯状疱疹が増加しているという話をよく耳にします。それについて安井医師は、
「帯状疱疹が増えている原因の一つには、水ぼうそうの患者が激減したことがあると思います。現在水ぼうそうのワクチンは定期接種となっており、子どもたちが水ぼうそうを発症することは大変少なくなりました。ただしそのことにより、かつて水ぼうそうにかかったことがある人たちも水痘帯状疱疹ウイルスに接することが少なくなりました。それまではウイルスに接することで免疫が維持されていたのですが、ウイルスに接する機会が少なくなったとで、免疫が弱まっている可能性もあるのではないかと考えています」と語っています。

帯状疱疹の予防には、帯状疱疹ワクチンの接種を

帯状疱疹の予防には、帯状疱疹ワクチンが有効です。50歳以上になると帯状疱疹のリスクが高まるので、接種を検討してみてはいかがでしょうか。帯状疱疹ワクチンは2種類あります。また、接種費用の補助が出る自治体もあるので、詳しくはかかりつけ医などにご相談ください。

引用
国立感染症研究所:帯状疱疹ファクトシート(2017年2月10日)

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏
感染症ニュース一覧
予防接種における間違いを防ぐために

注意してほしい感染症

2024年4月期

RSウイルス感染症
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
新型コロナウイルス感染症
麻しん(はしか)

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ
咽頭結膜熱
溶連菌感染症
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
百日咳
ヘルパンギーナ
流行性耳下腺炎
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
マイコプラズマ肺炎
情報元:IDWR2024年第15週(2024年4月8日~2024年4月14日)

流行の様子

RSウイルス感染症 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 麻しん
 

RSウイルス感染症

報告数
北海道
267
青森
3
岩手
8
宮城
39
秋田
4
山形
15
福島
54
茨城
48
栃木
54
群馬
92
埼玉
295
千葉
116
東京
425
神奈川
280
新潟
49
富山
24
石川
48
福井
91
山梨
9
長野
33
岐阜
55
静岡
80
愛知
182
三重
99
滋賀
36
京都
144
大阪
774
兵庫
222
奈良
142
和歌山
26
鳥取
2
島根
17
岡山
14
広島
97
山口
107
徳島
37
香川
18
愛媛
51
高知
16
福岡
120
佐賀
22
長崎
27
熊本
31
大分
11
宮崎
64
鹿児島
75
沖縄
25
RSウイルス感染症は、乳幼児に注意してほしい感染症で、特に1歳未満の乳児が感染すると重症化しやすいです。お子さんに発熱や呼吸器症状がみられる場合は、かかりつけ医に相談してください。感染経路は、飛沫感染や接触感染です。お子さん向けのワクチンはまだ実用化されていないため、手洗い、うがい、マスクの着用を徹底しましょう。家族以外にも保育士など、乳幼児と接する機会がある人は特に注意が必要です。
情報元:IDWR2024年第15週(2024年4月8日~2024年4月14日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

感染すると、2~5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。発熱や咽頭痛など、新型コロナの症状と似ており区別がつきにくいため、症状が疑われる場合は速やかにかかりつけ医を受診しましょう。主な感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。感染の予防には手洗い、咳エチケットなどが有効です。
情報元:IDWR2024年第15週(2024年4月8日~2024年4月14日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

流行は、今後、落ち着きをみせると思われますが、水準的には、減り切っていないため、2024年4月以降も、しばらく、患者発生動向には注意していく必要があると考えています。また、4月から、新型コロナウイルス感染症に関する特例措置が終わり、通常の医療提供体制へ完全に移行します。これにより、新型コロナワクチンの特例臨時接種(無料)も3月末で終了し、4月からは自費での接種となります。また、治療薬の薬剤費や入院医療費についても公費の負担が3月末で終了し、他の疾病と同様に医療費の自己負担割合に応じた通常の窓口負担になります。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

麻しん

麻しんは「はしか」とも呼ばれ、パラミクソウイルス科に属する麻しんウイルスの感染によって起こる急性熱性発疹性の感染症です。麻しんウイルスは人のみに感染するウイルスであり、感染発症した人から人へと感染していきます。感染力は極めて強く、麻しんに対して免疫がない人が麻しんウイルスに感染すると、90%以上が発病し、不顕性感染は殆どないことも特徴の1つです。現在ではビタミンAが不足すると麻しんの重症化を招きやすいことが知られており、発展途上国ではその死亡率が10~30%に達する場合があると言われています。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
びせいぶつ芸能社
風疹ゼロプロジェクト
「水ぼうそう・帯状疱疹」ホントのところ

予防接種トピックス

感染症発生動向調査による小児科定点(約3,000か所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000か所)からの報告数に基づいたデータ解析によります。
感染症発生動向調査とは(厚生労働省ホームページより)
すこやか201 知ってアクション!感染症の予防

予防接種スケジュール

※国立感染症研究所サイト

インフルエンザ情報

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
厚生労働省が4月12日に発表した「インフルエンザの発 生状況について」令和6年第14週(4/1-7)による と、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は5.10。 去年の10月以来、久しぶりに10を下回りました。すべ ての都道・・・
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厚生労働省が4月12日に発表した「インフルエンザの発 生状況について」令和6年第14週(4/1-7)による と、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は5.10。 去年の10月以来、久しぶりに10を下回りました。すべ ての都道府県で前週(第13週)より少なく、10を超え る県は山形11.47と新潟10.25だけです。感染症 に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の 安井良則医師は「インフルエンザの全国の定点当たり報告 数は、前週と比較しても半分以下となりました。しかし、 この第14週は学校や幼稚園・保育園などが春休みの時期 と重なっています。インフルエンザ定点は小児科が多いた め、長い休みの影響を受けます。流行の傾向は次の15週 16週の数字を見ないとわからないでしょう。通常、イン フルエンザは短期間に大きな流行の山を作ります。今シー ズンは爆発的な流行はなかったものの、患者は長期に渡り 出続けていたため、患者数はこの10年で最多となってい ます。本来であれば夏頃はインフルエンザの患者はほとん ど出ないのですが、今後も要警戒だと思っています」
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