身の回りの感染症に注意 身の回りの感染症に注意
厚生労働省が2024年1月12日に発表した第1週(1/1-1/7)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」によると、全国の定点当たり報告数は6.96。前週の2023年第52週(12/25-12/31)の5.79と比べて、およそ1.2倍に増えています。新型コロナウイルス感染症の患者報告数の増加は、7週連続となっています。都道府県別では、岐阜県15.23、愛知県9.31、茨城県12.27で高い値を示しています。また、同日に発表された「インフルエンザの発生状況について」によると、2024年第1週(1/1-1/7)のインフルエンザの定点報告数は、12.66。前週の2023年第52週(12/25-12/31)の21.65から大きく減少しています。現状について、感染症に詳しい医師に聞きました。

【2024年】1月に注意してほしい感染症!インフルエンザ年明けも引き続き注意 コロナは増加予測新たな流行株への置き換わりに注視必要 要注意はマイコプラズマ肺炎

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、「新型コロナウイルス感染症の患者報告数が増加しています。2024年第1週は、年末年始のお休み期間で、診察する病院が少ないにも関わらず、患者報告数が増加していることが気がかりです。新型コロナの流行の特徴は、インフルエンザの様に、増えたり減ったりせず、増え始めると、着実に増加していく傾向があります。現在、国内の主流となっているのは、XBB系統と呼ばれる株ですが、BA2.86系統の株の検出が増えています。新しい株への置き換わりが進めば、ある程度、まとまった流行になることも予測されます。私の勤務する病院でも、年末年始の休暇期間明けから、新型コロナによる入院が増加しています。他の感染症の流行状況と比較しても、新型コロナの勢いが強く、注意が必要です。
インフルエンザについては、年末年始休暇の実診察日数が減っていることの影響も考えられます。年明けの流行は、これまで大きな流行をみせなかった地域で大きく流行する傾向があることから、引き続き、注意が必要です。今後、どのような状況になるのか、見極めが必要です」としています。

インフルエンザ症状と対策

インフルエンザは、1~4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続きます。通常は1週間前後の経過で軽快するが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染が主な感染経路です。他に接触感染もあるといわれています。飛沫感染対策として、咳エチケット。接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト-ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。

新型コロナウイルス感染症とは

新型コロナウイルス感染症は、発熱・鼻水・のどの痛み・咳などといった、風邪のような症状から始まります。また、頭痛や強い倦怠感などが良く見られる症状です。下痢や味覚・嗅覚障害を伴うことも少なくはありません。感染者の口や鼻から、咳、くしゃみ、会話等のときに排出される、ウイルスを含む飛沫又はエアロゾルと呼ばれる更に小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接的に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内の近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不じゅうぶんであったり、混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。最も重要な対策は、咳エチケットと手洗い・アルコール消毒など手指衛生を徹底することです。手洗いが大切な理由は、ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、自分の手にもウイルスが付着している可能性があるからです。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。また、感染拡大を防ぐため、人と人との距離を保つことが重要です。

引用
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」「インフルエンザの発生状況について」令和5年第52週・令和6年第1週、インフルエンザQ&A、新型コロナウイルスに関するQ&A
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏